算盤が恋を語る話


登場人物
T,S子

作品一言紹介
主人公のTは内気な上司であり、驚くべきほど内気で明白な告白など出来ない男の会計係だったので、算盤に数字を打ち込んで一人悦に入っていた。それは世にも内気な告白文。密かに好意を持っている助手の部下S子にその燃える意思をさらけ出していたのだ。そうそれは世にも奇妙な暗号恋文なのだ。さて、その愉快な結果は果たしてどうなっただろうか…!? 数字という冷たい媒体は、恋という温かい媒体にもなり得たと言うのだろうか!? タイトルの文字通り確かに算盤が恋を語ったこのストーリー。

関連ソフト
算盤の冷たい数字の暗号を作成/解読出来る拙作ソフト「偽ンどーか」を紹介しておきます。(リンクを辿ると紹介ページへ)。「算盤が恋を語る話」以外にも「二銭銅貨」暗号に対応しています。

著者(乱歩)による作品解説(ちくま文庫引用)
「写真報知」大正十四年四月の号に発表。暗号小説の掌篇である。私は昭和七年に三重県鳥羽町(今は市)の鈴木商店鳥羽造船所の電機部(今の神鋼電機の前身)の事務員をやっていたことがあり、この作の背景になっている造船所は、そこを思い出しながら書いたものである。

※(注)上のちくま文庫版、乱歩の解説の引用によると、確かに昭和七年となっているが、年表で確認する限りでは、まず間違いなく大正七年のミスだと思われる。ちくま文庫の誤植なのか?乱歩自身のミスなのか?は、私にはわかる術がない。
ゆえに真相を知ってる人の情報をお願いしたい。

早速情報を頂きましたので、追加させて頂きます。

※※((旧)何でも掲示板No.459松村武さんの記事一部引用)
河出文庫「謎と 魔法の物語」所収の「乱歩・自作自解コラージュ」でも、「昭和7年」 となっておりました。出典となる桃源社版全集は未見なので確かな ことは言えませんが、ちくま文庫も河出文庫も間違えているところを 見ると、きっと桃源社版でも「昭和7年」となっており、乱歩自身が 書き間違えたものではないでしょうか?当然、「大正7年」が正しい のですが、同様の書き間違い、記憶違いは他にもあるようで、・・・・(以下は省略/全文は掲示板にて参照してください)

※※(注2)乱歩の自注自解、「写真報知」の大正十四年四月の号というのは間違いで、正確には三月の号(第三巻八号)。それと、発表時は恋二題(その二)である。ちなみに(その一)にあたるのは「日記帳」(三月前半の第三巻七号)。


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