人間椅子


登場人物
佳子,女中,手紙の主(人間椅子の男?)

主な舞台
特に記載なし

作品一言紹介
ある日、閨秀作家の佳子の元に一通の手紙が届いた。驚くなかれ!なんとその手紙には世にもおぞましい人間椅子の告白談が綴られていたのであった・・・・・・

ネタばれ感想
(ネタばれ感想の「人間椅子を読んでの感想」です。当然ですが、未読の方は読まない方がいいです。)

著者(乱歩)による作品解説(ちくま文庫引用)
大阪で出ていた川口松太郎君編集の「苦楽」大正十四年九月号に発表。読者投票で第一席になったことをよく覚えている。萩原朔太郎さんはこの作も褒めてくれた。これは私の英訳短篇集 Japanese Tales of Mystery and Imagination にもはいっているのだが、その英訳「人間椅子」 The Human Chair が、一九六一(昭和三十六)年秋出版のアメリカ探偵作家クラブのアンソロジーに編入せられた。編者は David Alexander 署名は Tales for a Rainy Night である。

<追記> 私の作品で外国語に訳されているものは、その作の収められた巻の「あとがき」の中に、必ず書き添えたが、第一巻の「人間椅子」にソ連訳の出ていることを、このほど気づいたので、ここに追記する。それは昨年ソ連で出版された、日本文学研究家ペトロフ氏編、スターリン賞作家で「外国文学」誌編集長チャコフスキー氏長序の「ヤポンスカヤ・ノヴェラ」(日本小説集)という四七〇頁の本で、二十七人の日本作家の短篇が収められている。永井荷風、谷崎潤一郎の老大家から、川端、丹羽、石川、高見の諸家をはじめ主として純文学の作品がはいっているが、一方また松本清張、源氏鶏太、五味川純平諸氏の名も見え、最も新しいところでは城山三郎氏が加わっている。私のは「人間椅子」が選ばれ、ヴィノグラードワという婦人が日本文から訳したものである。
 昨一九六一年は、私にとって記念すべき年であった。同年、米、独、ソ連で出版された三種のアンソロジーに私の作が収録せられた。すなわち、この「人間椅子」のソ連訳と、この巻に収めた「押絵と旅する男」のドイツ訳と、第一巻の「あとがき」にしるした「人間椅子」のアメリカ訳の三冊が、期せずして皆一九六一年に出版されたのである。

※(注1)上のちくま文庫版、乱歩の解説の引用は昭和36〜38年に出版された桃源社版の『江戸川乱歩全集』全十八巻に載せられたものをちくま文庫「江戸川乱歩全短篇 III 」に再録したものである。ゆえに、上の作品解説に見られる《この巻〜》云々のこの巻とは、当然この桃源社の全集の巻ことである。ちなみに引用の最初の文(追記の前)は桃源社版第一巻が、<追記>は同第八巻が、元来の収録場所である。
※※(注2)自注自解では、「苦楽」九月号とあるが、十月号の間違いである。

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「女性」誌の「苦楽」における宣伝文はこちら

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