指環


登場人物
A,B

作品一言紹介
隠し方のトリックが心憎いまでに決まった本格掌篇だ。二人の会話方式で進む本篇は、以前同じ汽車で知り合った者同士が偶然汽車で再会した事から始まる。以前の汽車の中のダイヤの指環の掏摸事件についての話題だ。その一人が多いに疑われて、車掌に徹底的に調べ上げられたにもかかわらず、ダイヤがでなかった。しかしその実ダイヤを手に入れたというのだ。その驚くべき手腕とは!?

著者(乱歩)による作品解説(ちくま文庫引用)
「新青年」大正十四年七月号に「白昼夢」とならべて、「小品二題」という一括見出しをつけて発表したもの。「白昼夢」の方は大いに好評であったが、この「指環」は黙殺された。私のくせの変態心理的ものが出ていない作品はいつも評判が悪いのだが、ことにこれは単なるドンデン返し小説にすぎず、その手際もあまりうまくなかったのだから、黙殺されたのも当然であろう。


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