踊る一寸法師


登場人物
緑さん(一寸法師),お花,わたし,「紫繻子の猿股」の男,その他軽業師たち

主な舞台
ある軽業師一座のテント

作品一言紹介
一寸法師の緑さんはその日も同僚の軽業師たちにからかわれていた。そしてとうとうその日、緑さんの気は違ってしまい、行われたある恐ろしい行為とは・・・・・・・・・。

著者(乱歩)による作品解説(ちくま文庫引用)
「新青年」大正十五年一月号に発表。大正十五年は昭和元年なのだが、この年は俄かに流行作家になった感じで、連載長篇を五つも書いている。大阪の「苦楽」に「闇に蠢く」、「サンデー毎日」に「湖畔亭事件」、「写真報知」に「空気男」、「新青年」に「パノラマ島奇談」、「朝日新聞」に「一寸法師」の五篇、そのほかに短篇を十一書いたのだから、私としては最初の多作期であった。「探偵小説四十年」には「この十一の短篇のうち、やや取るに足るものは『踊る一寸法師』『お勢登場』『鏡地獄』の三篇であろう」と書いている。「踊る一寸法師」の原稿は大正十四年の十月に書いた。そのころ横溝正史君と二人で、森下さんはじめ「新青年」の寄稿家たちに会うために、関西から上京したことがあり、この短篇の前半は出発前に自宅で、後半は東京の丸の内ホテルで書き上げ、それを横溝君に朗読して聞かせたことを覚えている。


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