二癈人


※異本たる春陽堂バージョンに於ける異題は『二廃人』

登場人物
井原氏,斎藤氏

主な舞台
温泉場

作品一言紹介
題名の通り、二人の廃人のみが登場人物。一人は戦争での負傷であり、もう一人は夢遊病者であった。その夢遊病者であったはずの廃人がその病気が出たという二十年前の出来事を語る。

著者(乱歩)による作品解説(ちくま文庫引用)
「新青年」大正十三年六月号に発表。私は専業作家になる前に、二年間の余技時代があった。その二年間に、私はたった五つの短篇しか発表していない。第一年目の大正十二年には、処女作「二銭銅貨」のほかに「一枚の切符」と「恐ろしき錯誤」、第二年目の大正十三年には、この「二癈人」と「双生児」で、いずれも発表誌は「新青年」であった。だから、これは処女作から四つ目の作品なのだが、発表当時、なかなか好評で、私の代表作の一つに数えられていたものである。この作はジェームス・ハリス君による私の英訳短篇集 Japanese Tales of Mystery and Imagination (1956)の中に Two Crippled Men と題して編入されている。


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