目羅博士


※異本たる春陽堂バージョンに於ける異題は初出タイトルと同じく『目羅博士の不思議な犯罪』

登場人物
江戸川乱歩,「ルンペン」風の青年,(事務員,老紳士,目羅聊斎)

主な舞台
上野動物園,不忍池,丸の内

作品一言紹介
模倣の恐怖を描いた恐るべき一篇。恐怖の谷を彷彿させるそっくりなビル、猿まねの宿命、人形、そしてそれらに「月光の魔術」が付加された時、あやかしの妖術に翻弄される迷える子羊達は首吊り自殺への道を選んでしまうという怪事件。しかも多発なのである。この乱歩が偶然出会った男に聞いた奇談はまさに不思議な犯罪に相応しい怪異。そして更に不思議な犯罪は展開されていくという恐るべき断崖への道。

章の名乱舞(参照はちくま文庫)
一から五まで

※(異本たる春陽堂バージョンに於ける異章題)
1から5まで


※※文芸倶楽部(初出)「目羅博士の不思議な犯罪」における章の名乱舞
【猿】【恐怖の谷】【黄色い顔】【博士の部屋】【蝋人形】
(註)例のごとく、蝋人形の蝋は旧字体の難しい漢字です。

著者(乱歩)による作品解説(ちくま文庫引用)
「文芸倶楽部」昭和六年四月増刊に発表。そのときは「目羅博士の不思議な犯罪」という題をつけたが、長すぎるので、単に「目羅博士」と改題した。この連続自殺の着想はエーヴェルスの「蜘蛛」という短篇から借りたものだが、全体の筋は私自身の考えによっている。目羅は、重箱読みだけれど、メラと読む。この名には別に出典があるわけではない。


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