二銭銅貨


登場人物
私(語り手),松村武

主な舞台
芝区,飯田橋,神田区

作品一言紹介
江戸川乱歩が世に送り出すところの処女作。 その暗号の二重の解答には今でも驚かされること間違いない。それほどのモノだから、その発表時の驚きの計り知れなさは容易に想像がつくところだろう。
<以下2009/05/22追記>
「あの泥坊が羨ましい」という程、その日暮らしの生活に窮乏していた私と松村武だったが、彼らは魅惑的な空想家だったという話で、松村武は机上の二銭銅貨から、昨今の銀行泥坊とも絡めた不可思議な探偵活動を開始するが…という梗概。そのプロットの美事さや南無阿弥陀仏の暗号、そして何よりもその効果絶大なオチの秀逸さ、この江戸川乱歩の処女作はまさに日本探偵小説の黎明というに相応しい出来映えだ。冷静に考えずとも、現在に至るまでの日本の探偵小説ファンは感謝するしかあるまい。

章の名乱舞(参照はちくま文庫)
【上】【中】【下】

※(異本たる春陽堂バージョンに於ける異章題)
異章題は無し

ネタばれ感想
松村武さんが「ネタばれ感想掲示板」に書き込まれた記事をリンクしておきます。「「二銭銅貨」と「一枚の切符」が決定付けた日本ミステリ界の方向性・私見」です。作品を読まれた方のみご覧下さい。

関連ソフト
南無阿弥陀仏の暗号を作成/解読出来る拙作ソフト「偽ンどーか」を紹介しておきます。(リンクを辿ると紹介ページへ)

著者(乱歩)による作品解説(ちくま文庫引用)
大正十二年四月号の「新青年」に掲載された私の処女作。当時の編集長森下雨村さんが大いに認めてくれ、小酒井不木博士の賛辞つきで発表された。今でも私の作品といえば「二銭銅貨」をあげる人が多いようである。当時はまだ、あの大きな二銭銅貨が、僅かながら流通していた。直径三インチ余、厚さ四ミリほどの、どっしりと重い銅貨であった。今度、この小説に使われている点字の書き方に間違いがあることを気づいたので、訂正しておいた。これは最初の私の原稿が間違っていたのである。


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