沙槻(さつき)作のBLコミック「艶めく闇と溺れる光」シリーズ第1作を読みました。私は電子書籍で購入読了しました。いやあ、4年前にこれ程の作品があったとは浅学菲才、存知ませんでした。
これこそ、まごうかたなき「21世紀『の』二十面相LOVE」作品です。
乱歩世界を散りばめながら、小林君を中心に二十面相を廻る謎と愛欲が錯綜する・・・いいですねえ。やはり世界は二十面相を中心に回っている。
特に物語の核となる「仮死粒子」は私の乱歩小説原体験「電人M」でしょうから個人的にもうれしい。
アイデンティティを廻る物語、平たく言えば自分探しが、現代の主要なテーマの一つなら、そこに顔のない存在「怪人二十面相」は、本作から先のNHKドラマ「探偵ロマンス」にも連なっている、格好のテキストなのかもしれません。
すでに刊行されて4年の筈ですから多少のネタバレを許していただきますが、小林君と二十面相の関係は、戦前と戦後は代替わりしている、という論説やパスティーシュは既にありますが、ここでさらに、もう一歩踏み込んだ大胆な解釈が最高ですね。
※続編は紙本で購入済みですので引き続き読むつもりです。