畸形の天女


登場人物
(第一回の乱歩執筆分のみ)
宮城圭助(松永昌吉),奇形の天女(北野ふみ子),斎田五郎,宮城良子,宮城弘一,宮城るり子,宮城貿易商社社員など

主な舞台
(第一回の乱歩執筆分のみ)
呉服橋,東京会館,上野駅,南千住駅,千住

作品一言紹介
宮城圭助は宮城貿易商社の社長であり家庭も会社も順風満帆であったが、文字通りの意味で顔をもう一つ持っていた。それが変装後の姿であるところの松永昌吉であり、表立たない裏の世界で色々活動するための顔だった。その松永昌吉がある日、精神的意味で「奇形の天女」という学生北野ふみ子に恋をし、恋をされるが・・・・・・・・・・・・・。この奇形の天女をめぐって、江戸川乱歩→大下宇陀児→角田喜久雄→木々高太郎が、真に自然な形でリレーし、事件を複雑巧妙に味付けしていき、ラストの木々が大心地先生の出馬とともに、これまた自然な結末をつけるというリレー連作長篇。

ネタばれ感想
松村武さんが「ネタばれ感想掲示板」に書き込まれた記事をリンクしておきます。「「畸形の天女」の舞台を訪ねて」です。作品を読まれた方のみご覧下さい。

著者(乱歩)による作品解説(河出文庫引用)
「宝石」昭和二十八年十月号に発表。これは江戸川、大下、角田、木々の四人による連作小説であったが、私はいつもとちがって、乗り気になって書いた。「畸形の天女」という題も私がつけたのだが、この題名の意味に、私は強い興味を持った。そして、このあとの幾つかの作、「月と手袋」や「十字路」なども「畸形の天女」と似た気持で書いた。しかし、結局、私はこの新傾向に抜け出すことができなかった。自信をもってその方向につき進むほどの作品が書けなかったのである。

※(注)河出文庫引用としてるが、その河出文庫は昭和三十八年六月の桃源社版『江戸川乱歩全集』第十八巻の自作自解を引用している。

比較的最近の収録文庫本
角川文庫・江戸川乱歩作品集『十字路』(乱歩分のみ)
講談社文庫・江戸川乱歩推理文庫『畸形の天女』
春陽文庫・合作探偵小説『畸形の天女』


(注意)残念なことに角川文庫と講談社文庫と春陽文庫は品切・絶版中・・・


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