著者:北村想
新潮社(1991-1、 現在絶版)
前作「怪人二十面相・伝」の続編であり、平吉二十面相は戦後まもなくの時代を駆け回る。戦う相手はやはり明智小五郎。青銅の魔人という道具立てで、狙いは一つ。それにしても、今作でも引き続き、小林の、いや明智と言うべきか、の性格の悪さには辟易させられるばかり。まぁ、これは平吉の伝記なのだから、明智小五郎が変に描かれるのはある意味当然とも言えるが、それでも笑えるのは小林だ。ともかくも感情移入出来るまでの美事な人間二十面相を描ききり、二十面相ファンは間違いなく楽しめるだろうはずの一作である。
雨の章
風の章
闇の章
焔の章
終章あるいは水の章