著者:北村想
新潮社(1989-2、 現在絶版)
怪人二十面相の自伝。大正十四年に生まれた平吉による、終戦後まもなくの二十面相宣言までを描いている。
彼の八歳の時に、母親とサーカスに連れられた。もちろん見に行くためである。しかしそれが間接的な原因となり、彼の家族は破綻を迎えてしまう。それは全て彼を曲芸師にするための序曲だったのかも知れない。そして連綿と続けられる怪人二十面相vs明智小五郎の序幕。二十面相の側から語られるその対決。それは明智側のとは大きく異なる人間くささと現実だった。世の中をアッと言わせたいという動機も成る程と手を打たせるのである。しかし明智小五郎も小林少年も性格悪過ぎるのが些か笑える所というべきだろう。
第一章 サーカスの怪人
第二章 怪人二十面相
第三章 少年探偵団
第四章 巨人対怪人
第五章 終章あるいは新しい序章
あとがき