著者:芦辺拓
講談社ノベルス刊(2000年5月5日第一刷)
まさに圧倒的な展開力。最初の方は、口絵、目次、細かい?点、大雑把な点での乱歩趣味の前に思いっきりニヤニヤさせられ、そのうち、それに怪奇・恐怖性と本格の不可解性が加わり、そして最後の一部の核心は当たりつつも、ホントの意味ではその予想をも越えた驚愕的な真相、タイトルの意味。読中はもちろん、読後の恐るべき恍惚感もしばらくは胸中に存在し続けそうな予感だ。本格探偵小説ファンや名探偵・森江春策ファンは当然として、所謂乱歩小説として、乱歩ファンに圧倒的にお奨めできる名品。特に乱歩の通俗冒険的探偵長篇が好みなら絶対一読をお奨めしたい。ある意味、乱歩以上の恐怖と戦慄が待っているからである。
プロローグ→「十字路」<このように(左側には「怪人対名探偵」の章題)→(右側に乱歩の小説の章題)を記す>
十三号室の借主→「蜘蛛男」
闇を這うもの→「妖虫」、「暗黒星」
蠢く触手→「蜘蛛男」、「盲獣」
幻の兇笑→「地獄の道化師」
名探偵花筐城太郎→「猟奇の果」(名探偵明智小五郎)、「怪人二十面相」(名探偵明智小五郎)、「サーカスの怪人」(名探偵明智小五郎)
怪人物R・K→「悪魔の紋章」
怪屋の怪→「人間豹」、「妖怪博士」、「虎の牙」、
花筐城太郎の推理→「緑衣の鬼」(乗杉竜平の推理)、「悪魔の紋章」(明智小五郎の推理)
恐ろしき水罠→「黄金仮面」
大夜会→「黄金仮面」
二人探偵→「妖怪博士」
地上と地下→「魔術師」
魔術師の怪技→「黒蜥蜴」、「蜘蛛男」
時計塔の秘密→「塔上の奇術師」
大空の縊死体→「黄金仮面」
殺人映画→「魔術師」
ハヤブサ丸→「海底の魔術師」
異国風の怪人→「蜘蛛男」
桁はずれの悪計→「蜘蛛男」
生ける蝋人形→「悪魔の紋章」
人体溶解術→「黄金仮面」
空中観覧車→「影男」
意外の人物→「孤島の鬼」、「蜘蛛男」
飛ぶ悪魔→「吸血鬼」
探偵作家の推理→「緑衣の鬼」
拷問窟→「大暗室」(初出、創元版[地獄図絵]の次章)
一足違いに→「蜘蛛男」
奇怪なる娯楽園→「地獄風景」
パノラマ人形→「蜘蛛男」
ズバ抜けた欺瞞→「蜘蛛男」
燃える骸骨→「魔術師」
失望した滝警部→「蜘蛛男」(失望した波越警部)
恐ろしき婚礼→「恐怖王」
有明少年の危難→「青銅の魔人」(小林少年の危難)、「怪奇四十面相」(小林少年の危難)、「鉄塔の怪人」(小林少年の危難)
殺人喜劇王対森江春策→「蜘蛛男」(蜘蛛男対明智小五郎)、「黄金仮面」(ルパン対明智小五郎)
白堊館の密話→「偉大なる夢」
空っぽの邸宅→「蜘蛛男」
森江春策の推理→「緑衣の鬼」(乗杉竜平の推理)、「悪魔の紋章」(明智小五郎の推理)
邪悪の故郷→「幽鬼の塔」(初出)(但し桃源社版では【邪悪の古里】)
毒焔→「大暗室」
エピローグ→「十字路」
なお、《芦辺倶楽部》にて大いなる助言を頂きました(^^)。加えて乱歩少年物の章題はもう少し増えるかもしれません。