著者:久世光彦
新潮文庫版
本格長篇を志した「悪霊」の行き詰まり、中絶によって、通俗長編しか書けない自分に嫌気がさし、危機的な心理に陥っていた乱歩四日間の話。その間に「梔子姫」という架空の乱歩中編が描かれる。(つまりこれが久世氏の"贋作乱歩小説"ということだ)乱歩の奇態には驚かされるが、微笑ましいような気もしないでもなかった。全体で言えば、時代の雰囲気に浸ることの出来る逸品。
序章 張ホテル
第一章 梔子姫
第二章 ミセス・リー
第三章 偏奇館主人
第四章 あ(口+亞の漢字)者の声
第五章 ポインセチアの秘密
第六章 神々の蝶