集英社

*** 書籍表題 出版社 筆者 訳者など 一言感想or備考 お勧め度
067 オシムの言葉 集英社インターナショナル 木村元彦 読書記録に載せる対象になったり対象外になったりする。ノンフィクション本だが、他に載せるとことてないので載せておこう。
一部サッカーファンから歓迎された日本代表監督オシム。私もその1人であり、この本も発表数日後に購入し読んだ記憶がある(更新放置の末に今は十一月…)。そこには壮絶な旧ユーゴ時代のストーリーがちりばめられており、オシム語録と言われる独特の言い回しの重みを教えてくれる。旧ユーゴ解体前後はもちろん日本人には想像も付かない果てしない人生経験とサッカー愛を知りたければ本書をお奨めしたい。
☆☆☆☆☆
022 人体模型の夜 集英社文庫 中島らも 収録作品は、アッと言わせる伝承的迷信の暗示した現実の恐慌「邪視」、楽園と思われた島に潜む遅すぎた悪夢「セルフィネの血」、男の悪戯心からマンションの卓越した嗅覚を持つ女を襲った幽界の残留「はなび え」、盗聴癖のある引っ越し魔の男が直面した独り言の秘密の狂気「耳飢え」、自転車プロを目指す兄弟で清々しい幽霊譚「健脚行」、人面瘡の異外な展開「膝」、ピラ ミッドパワーの究極がユーモラスな悲劇「ピラミッドのヘソ」、ジョン・レノンの残した幻の未発表曲から端を発する呪いの8「EIGHT ARMS TO HOLD YOU」、ある葬儀屋を冷めたユーモア怪奇で描く「骨喰う調べ」、肉食、菜食から進む悲劇「貴子の胃袋」、恒例会で経験した不気味な真 偽のクロス「乳房」、天使の性別から展開「翼と性器」という収録順。それを人体模型が語るという奇妙なまでの怪奇です。各種多様な恐怖を与え てくれる人体怪奇で面白く、「邪視」「セルフィネの血」「はなびえ」「骨喰う調べ」辺りがそれぞれ違う意味で特に秀逸だろう。 ☆☆☆☆☆−
00a ガダラの豚【III】 集英社文庫 中島らも 再び日本編かつ完結編。
物理的ではなく不安を喚起し恐怖を内在させるような感覚で進んでいき、ファンタジックな劇的大団円を迎えます。
☆☆☆☆☆
00a ガダラの豚【II】 集英社文庫 中島らも ケニア編とも言うべき第二部。
色々な面で驚くべき真相が判明!この「ガダラの豚」の山場とかキーポイントあるいは謎というべきものは第二部が最も多いでしょう。圧倒的面白さ。
☆☆☆☆☆+
00a ガダラの豚【I】 集英社文庫 中島らも 日本推理作家協会賞受賞作品だそうです。ただこの巻では推理らしくはありませんでした。しかしその面白さといったら、全身全体で心臓のバクバクで感じる面白さというべきものを久々に感じたほどでした。奇術あり、新興宗教あり、格闘ありと目にも留まらぬ展開力、はやく次が読みたくて仕方がなくなるのです。実はこれを書いてる時点で・・・。 ☆☆☆☆☆
018 怪異投込寺 集英社文庫 山田風太郎 「踏絵の軍師」「怪異投込寺」「獣人の獄」「芍薬屋夫人」「地獄太夫」を収録。とりあえず楽しめたのは「踏絵の軍師」「獣人の獄」「芍薬屋夫人」あたりか。 ☆☆☆☆−
058 透明な同伴者 集英社文庫 鮎川哲也 「透明な同伴者」「写楽が見ていた」「笑う鴉」「首」「パットはシャム猫の名」「あて逃げ」。ほんの些細な偶然やミスから犯罪が発覚してしまう倒叙探偵小説の短篇集。解説で鮎川倒叙短篇のトリックや動機が丁寧に分類されているのも参考になる。 ☆☆☆☆+
028 企画殺人 集英社文庫 鮎川哲也 久々に鮎哲を読むと、その素晴らしさが骨身にまで染みいるがごとく理解出来るのである。これは七つの倒叙物を集めた短篇集であり、収録作は「錯誤」「偽りの過去」「蟻」「墓穴」「憎い風」「尾のないねずみ」「てんてこてん」。再読の「錯誤」はそっくりさん流行歌手を使った意外な奸計、同じく再読の「偽りの過去」もそっくりさんの奸計だが、こちらは犯罪者自体のそっくりさん。ロシア語も出て来て印税泥棒が原因だった完全犯罪を見抜いたのは意外にもの「蟻」、探偵と犯罪者余りにも大きな根本的の「墓穴」、宝くじの果ての悲劇で本当に憎い風「憎い風」、ガスのトリックも泣くしかない「尾のないねずみ」、意外な結末アリバイ工作に協力してくれた男の真意「てんてこてん」って感じである。 ☆☆☆☆+
026 葬送行進曲 集英社文庫 鮎川哲也 全てが読者への挑戦附き、或る物は倒叙で犯人のエラーを、或る物は誰が犯人か?。収録作は倒叙物で、アリバイ工作の電話が…になった「葬送行進曲」、アリバイ作りに尾行者を利用する所が面白い「尾行」、空間移動に遺漏「ポルノ作家殺人事件」、ちょっと現在の感覚では理解出来ない心理「詩人の死」、フェアでなく挑戦がない本作は犯人捜し系だが、その赤狂という設定が苦しい「赤は死の色」、同じく犯人捜しで、意外な犯人「ドンホァンの死」、軽い倒叙物「死人を起す」、奇妙な話の真相は?の「新赤髪連盟」を収録。 ☆☆☆☆
017 ヴィーナスの心臓 集英社文庫 鮎川哲也 傑作本格短篇が問題編と解答編に分けられて収録。これは全て凄いとしか言いようがない。収録作は「達也が嗤う」「ファラオの壺」「ヴィーナスの心臓」「実験室の悲劇」「薔薇荘殺人事件」「山荘の死」「悪魔はここに」 ☆☆☆☆☆
000 密室殺人 集英社文庫 鮎川哲也 密室に関する短編集。
『赤い密室』『白い密室』『青い密室』『矛盾する足跡』『海辺の悲劇』
今回は前3つの星影探偵は最近の既読なので、省略して後半二つを読んだ。特に鮎川さん本人が出演っぽい『矛盾する足跡』は本格の王道的ゲーム性から楽しめた。
☆☆☆☆☆−
004 西南西に進路をとれ 集英社文庫 鮎川哲也 短篇集。表題作の他「ワインと版画」「MF計画」「濡れた花びら」「猪喰った報い」「地階ボイラー室」「水難の相あり」を収録。鬼貫も星影も表だって登場しないが、どれも楽しめた。特に「西南西に進路をとれ」「猪喰った報い」は ☆☆☆☆
004 赤い館の秘密 集英社文庫 A・A・ミルン 柴田都志子(訳) 乱歩がベスト10(8位)に選ぶのも何となくわかるようなほのぼのとした本格推理作品。登場人物を絞ってるので読みやすい。読んだらわかるだろうが、真相はだいたい見えてくると思う。 ☆☆☆☆☆