*** | 書籍表題 | 出版社 | 筆者 | 訳者など | 一言感想or備考 | お勧め度 |
066 | うつし世の乱歩 | 河出書房新社 | 平井隆太郎 | ー | 江戸川乱歩のご子息隆太郎氏および同夫人の隆氏のエッセイ集。そのほとんどが乱歩逝去後のエッセイとなっており、乱歩と家族との関わり合いを垣間見えて非常に興味深いと言う言葉がピッタリ来るだろう。乱歩ファンならぜひ一読して欲しい一冊。 仕方がないとはいえ新作がないのは少し寂しい限りであったというのはファンの贅沢というべきものであろうか。 |
☆☆☆☆☆ |
041 | シャーロック・ホームズ対ドラキュラ あるいは血まみれ伯爵の冒険 |
河出文庫 | 医学博士ジョン・H・ワトスン | ローレン・D・エスルマン | あのホームズがドラキュラ伯爵と対決をするという冒險小説パスティーシュ。さり気ない真の主人公ワトスンの活躍も面白いし、ヘルシンク教授も登場するのも注目点。19世紀末だからなぜか許せてしまう世界はなぜか懐かしいのである。 | ☆☆☆☆− |
033 | 江戸川乱歩 誰もが憧れた少年探偵団 |
河出書房新社 | − | − | ムック。「悪魔が岩」を初めて掲載した本として今後も語り継がれるに違いないだろう。詳しくはそのうち関連書籍に加える予定 | ☆☆☆☆☆ |
02b | 本格ミステリコレクション6 鷲尾三郎名作選 |
河出文庫 | 鷲尾三郎 | 鷲尾三郎 | トリッキーな本格ばかりを揃えた短篇集。「疑問の指輪」「鬼胎」「生きている屍」「文殊の罠」「播かぬ種は生えぬ」「月蝕に消ゆ」「風魔」「姦魔」「妖魔」「白魔」を収録。特に秀逸なのはその異様な雰囲気と悪魔の計画「生きている屍」、トリックが絶大な「文殊の罠」の二篇だろうか | ☆☆☆☆☆− |
02b | 江戸川乱歩アルバム | 河出書房新社 | − | 平井隆太郎監修 新保博久編 |
再読であるが、絶版する前に、これほど大判写真を揃えた見やすい本はないので、購入し、再読と相成った。今見ても感激的までのアルバムである。 | ☆☆☆☆☆ |
02b | 江戸川乱歩と少年探偵団 | 河出書房新社 | − | 堀江あき子編 | 少年探偵団シリーズの挿絵やグッズなどの写真が面白い上に、幻の「悪魔ヶ岩」の原稿写真は興味深い以上のものと言えよう。ただ、些か中途半端な感もあり、物足りない点も感じられる。もっともこの点は、現在やっている弥生美術館に行けば解消されるのであろうが(^^; | ☆☆☆☆☆− |
028 | 本格ミステリコレクション5 島久平名作選 5 - 1 = 4 |
河出文庫 | 島久平 | 日下三蔵編 | 伝法探偵の事件簿とも言うべき作品集で、さすがに島の本格の味を見せてくれている。「夜の殺人事件」「犯罪の握手」以外は初読で、とりあえず楽しめる作品は多かったと言えるだろう。 | ☆☆☆☆+ |
037 | 猫のミステリー傑作選 | 河出文庫 | 赤川次郎など | 鮎川哲也編 | 都筑道夫「檸檬色の猫がのぞいた」、川島郁夫「乳房に猫はなぜ眠る」、津井つい「猫に卵」、南部樹未子「愛の記憶」、赤川次郎「三毛猫ホームズの幽霊退治」、角田喜久雄「猫」、土岐雄三「猫じゃ猫じゃ事件」、岡沢孝雄「猫の手紙」、新田次郎「猫つきの店」、藤枝ちえ「猫騒動」、日影丈吉「『風邪ひき猫』事件」を収録。特に印象に強かったのはショートショートの怪作「猫に卵」、「屋根裏の散歩者」も引用したプロバビリティながら論理性に欠く、その滑稽でいて恐ろしい「猫の手紙」と言った所だろう。 | ☆☆☆☆ |
024 | 本格ミステリコレクション4 鮎川哲也名作選 冷凍人間 |
河出文庫 | 鮎川哲也 | 日下三蔵編 | 最初期ノンシリーズ短篇を集めた短篇集。鮎哲の珍しい幻想小説や秘境小説、怪獣小説、ナンセンス物はまさに圧巻的面白さだ。特に面白かったのは、「マガーロフ氏の日記」「怪虫」「絵のない絵本」「地虫」ってところだが、全作品的に面白い。また藤雪夫、狩久との連作「ジュピター殺人事件」も収録しており、興味深いのである。 | ☆☆☆☆☆− |
02a | 犬のミステリ | 河出文庫 | 仁木悦子など | 鮎川哲也編 | 犬の登場するミステリアンソロジー。どれもなかなか楽しめる作品である。収録作は佐野洋「放火した犬」、樹下太郎「無能な奴」、香山滋「犬と剃刀」、御手洗徹「野犬と女優」、多岐川恭「蝋燭を持つ犬」、竹村直伸「タロの死」、椿みち子「赤い犬」、仁木悦子「虹色の犬」。編者の鮎川哲也は前書きと解説である。もっとも秀逸に感じたのが、奇妙な犬貰い事件が驚くべき真相への「タロの死」であった。 | ☆☆☆☆ |
01b | 罪と罰 | 河出書房 | ドストエーフスキイ | 米川正夫 | 何たる圧巻だろうか。主人公の青年・ラスコーリニコフは福音を得るためには通らねばならぬ試練だったというのだろうか。それだけ彼は自己の理論に酔いしれていたというのか。非凡人超人主義者は挫折を味わう必要があったのだろう。さもなければ、彼はいつまで経っても目が覚めない迷走地獄で、幻想だけに取り憑かれていたかもしれない。その福音までの犠牲は確かにあまりにも大きかった。しかし彼は偶然の要素も手伝いながら生への執着もあり最終的に打ち勝ったのだ。ひょんな事から気の毒な娼婦から最大の精神的救世主となる資格を得たソーニャ、恐るべき憎むべきようで同情を誘わずにいられないスヰ″ドリガイロフ、惨いくらい自己に酔うのみのペテローヰ″ッチ・ルージンなどなど・・・・・、とにかく罪と罰、心理的要素も満載で、絶讃である。 | ☆☆☆☆☆+ |
01a | 本格ミステリコレクション1 飛鳥高名作選 犯罪の場 |
河出文庫 | 飛鳥高 | 日下三蔵編 | 「逃げる者」「二粒の真珠」「犠牲者」「金魚の裏切り」「犯罪の場」「暗い坂」「安らかな眠り」「こわい眠り」「疲れた眠り」「満足せる社長」「古傷」「悪魔だけしか知らぬこと」「みずうみ」「七十二時間前」「加多英二の死」「ある墜落死」「細すぎた脚」「月を掴む手」を収録。「古傷」「金魚」「加多英二の死」「犠牲者」辺りが特に印象深く面白い。 | ☆☆☆☆+ |
018 | 不思議の国のアリス | 河出文庫 | ルイス・キャロル | 高橋康也・迪 | どうも殆ど記憶していなかったナンセンスストーリー。しかしそのせいでかなり楽しめた。 | ☆☆☆☆☆ |
014 | 探偵小説名作全集2 小酒井不木・甲賀三郎集 |
河出書房 | 小酒井不木 甲賀三郎 |
− | 小酒井不木「疑問の黒枠」と甲賀三郎の「姿なき怪盗」を収録。「疑問の黒枠」は日本の誇る最初の本格長篇であり、秀作である。私は新青年復刻版で大半を読み、残りの解決編を本書で読んだのだが、その圧倒的な謎興味は素晴らしい。解決への連関が緩いのがやや不満と言えば、不満だが、そんなものも圧倒する面白さがあるのだ。次に「姿なき怪盗」だが、これこそ秀作中の秀作と言えるべきものだ。謎とロマンに満ちあふれた圧倒的なサスペンス!そして純粋とは言えないまでも、本格興味も充分だ。「ルパン」マイナス犯罪を自認する獅子内俊次 対 所謂「ルパン」プラス殺人の三橋龍三、この熾烈な闘い。そして圧巻すべきプロットの中にも甲賀らしい恐るべき不可能興味のトリックの連続、特に秀逸すべきはラストの根幹なすトリックだ。この作品に欠点があるとすれば、中盤にやや冗長なところを感じたくらいで、まさに絶賛すべき長篇だ! | ☆☆☆☆☆+ |
013 | 探偵小説名作全集5 角田喜久雄集 |
河出書房 | 角田喜久雄 | − | 加賀美シリーズの「高木家の惨劇」「奇蹟のボレロ」「霊魂の足」を収録。どれも惚れ惚れするような本格探偵小説である。特に「高木家」の異常な雰囲気とトリックや「霊魂の足」の錯誤は見物。「ボレロ」ももちろん凄い本格ですが、苦言一つ、その前提が・・・だと少々。 | ☆☆☆☆☆ |
027 | 江戸川乱歩コレクションII クリスティーに脱帽 |
河出文庫 | 江戸川乱歩 | 新保博久+山前譲(編) | 海外ミステリ評論集である。既読のも含めて全て読んだが、改めてのも含めて、かなり面白い興味深いと言えよう。なお収録作品は関連書籍参照ということで。 | ☆☆☆☆☆ |
011 | 日本探偵小説事典 | 河出書房新社 | 江戸川乱歩 | 新保博久+山前譲(編) | 乱歩の宝石編集時の膨大なルーブリックを中心にそれ以外にも他の作家、交友者に対して書いた文章の山。生前、没後含めて、単行本未収録率9割というウルトラ大事典。 詳しくは関連書籍へ、と言いたいところだが、この時点ではまだ表にしていない。少々待たれたし。 |
☆☆☆☆☆ |
008 | 江戸川乱歩コレクションIII 一人の芭蕉の問題 |
河出文庫 | 江戸川乱歩 | 新保博久+山前譲(編) | 日本ミステリについての評論を収録したコレクション。収録作品は関連書籍参照。 | ☆☆☆☆☆ |
006 | 江戸川乱歩コレクションI 乱歩打明け話 |
河出文庫 | 江戸川乱歩 | 新保博久+山前譲(編) | 乱歩自身に関することを集めた随筆集。関連書籍に収録表を掲載。 | ☆☆☆☆☆ |
005 | 江戸川乱歩コレクションV 群集の中のロビンソン |
河出文庫 | 江戸川乱歩 | 新保博久+山前譲(編) | 乱歩の趣味に関する評論エッセイ集。同性愛関連のエッセイも収録。どれも興味深い内容であった。詳しくは関連書籍のページを見るべし | ☆☆☆☆☆ |
004 | 江戸川乱歩コレクションVI 謎と魔法の物語 |
河出文庫 | 江戸川乱歩 | 新保博久+山前譲(編) | 乱歩自作に関する評論エッセイ集。 乱歩ファンなら必見の興味深い内容で一杯である。 現在絶版の講談社乱歩文庫を持ってない人には特にお勧めだと思われる。 |
☆☆☆☆☆+ |