《第8話 「曝露」》のネタバレ感想
出典:(コミックバンチ2004年33号(7月30号(実際は7月16日発売日)))
今回は凄い意外な展開への幕開けだ。よもやこんな展開を用意してこようとは! 人間椅子には辛すぎる。とにかくレビュー。
桐畑は、修理のために、手元に安楽椅子が戻ってきたのを活用して、佳子の自在な姿態を支えるために更なる改造を企てていた。いかなる名工が為し得なかった究極の椅子の座り心地を、桐畑自らが実践するべくの改造だ。桐畑の肉体が椅子と一体化することで名工の椅子の完成だ。
桐畑は改造を済ませた後、野上家具店を訪れた。例の野上家具店の高級家具プロジェクトに参画するかの返事だ。当然野上はOKするものとしか考えていない。が、桐畑は人間椅子として佳子に奉仕することだけしか考えていないのだ。桐畑は断りをいれる。もはや高級家具作りの情熱も佳子のための安楽椅子で使い果たしたとも言ったのだ。これには野上は唖然とするしかなかった。
桐畑は急ぎ、工房へ戻る。椅子の中に入りたくて入りたくて仕方がないのだ。もはや桐畑の生きる場所はそこしかないように。ところが悲劇の始まる。納品日前日にもかかわらず、桐畑の椅子がないのだ。弟子が言うには野上家具店が取りに来てしまったとのことだ。桐畑は勝手な行動に憤りを覚えてしまう。
柏木家に訪れた野上は不機嫌だったベロンベロンに酔って、佳子の書斎に訪れる。どうでもいいが、毎回不意に来られては、佳子の創作活動にとっては、えらい邪魔なんではないかと思う。ちなみに佳子は、野上家具店から届けられた桐畑の安楽椅子に腰掛けて執筆中。もちろん中の人はいない。
野上は桐畑が断ったのが相当気に入らなかったらしい。それが酔っている原因の一つらしい。せっかく世話してやったのに、こんの恩知らずが!、という口調だ。その野上に対して、佳子が多少不快感を覚えたのだろう。野上の勝手な押しつけ親切を、ありがた迷惑にもなり得ると言うと、野上はいきりたって、安楽椅子も迷惑だったのか! と当たりちらし、更に桐畑から贈られた油紙も怒りの対照に。野上からすると、佳子が桐畑をかばい気味なことに嫉妬を感じたのだろう。挙げ句の果てには、安楽椅子を蹴飛ばしたのだ。そして、ついに知ってはいけない秘密を知る。ひっくり返った椅子の底は抜け、空洞の中を探った野上は、水筒と乾パンを発見してしまう。そして核心の疑惑の一言、桐畑の人間椅子に言及してしまったのだ。青ざめているのか漫画なのでよくわからないが、野上と佳子の顔には、あまりにも異常な想像の前に、確かに血の気が引いているような描写があった。
さて、人間椅子桐畑、最大の危機。というか破綻ではないか。これをどう乗り切れるというのか? もう人間椅子は出来ないのか? しかも殺人未遂つき。さて、原作のような手紙フィナーレは無理っぽくなってきたぞ。
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