智恵の一太郎


シリーズ短篇タイトル乱舞(※少年小説大系7巻より)

1.象の鼻:池に入らずにどうやって水に浮かんでるものを取るか?
→明石一太郎(以下一太郎と表す),木村良雄

2.消えた足跡:雪の途中で足跡が消えて代わりに棒でつついたような跡がある謎
→一太郎,高橋一郎,北川君,啓ちゃん,木村君

3.智恵の火:おわんの中の水から火を起こす。
→一太郎,お祖父さん,お父さん,お母さん,妹の妙子ちゃん

4.名探偵:妙子ちゃんを助けたのは?指紋の問題。
→一太郎,妙子ちゃん,お母さん,中村君,北村君

5.空中曲芸師:蜘蛛はどうやって川の対岸どおしに糸を繋げるのか?
→一太郎,田舎の伯父さん
※田舎=東京都内中央線で行けるところ。
※の※東京都になったのは昭和18年7月1日、つまり昭和17年5月の初出テキストではないらしい。

6.針の穴:レンズを使わずに老眼鏡の代用品を!
→一太郎,お祖父さん,お父さん

7.お雛様の花びん:一人で自分の体3つ分の壺を作るトックリバチの秘密とは?
→一太郎,田舎の伯父さん

8.幼虫の曲芸:(上の直接の続篇)トックリバチの幼虫はなぜ自分より遙かに大きいサイズの青虫に潰されないのか?
→一太郎,田舎の伯父さん

9.冷たい火:夜光塗料のごとく発光する虫の正体とは?
→一太郎,高橋一郎

10.魔法眼鏡:月の見た目の大きさの変化の秘密とは?
→一太郎,高橋一郎

11.月とゴム風船:月はなぜ地平線近くで大きく見えるのか?風船を使っての実験
→一太郎,高橋一郎

12.兎とカタツムリ:レールを叩くとあら不思議、音が二回聞こえる謎
→一太郎,田舎の伯父さん

13.白と黒:白と黒の紙の下の雪はどちらが先に溶ける?
→一太郎,高橋一郎

14.風の不思議:風に吹かれるとなぜ寒い?
→一太郎,高橋一郎

15.ゴムマリとミシン針:穴の中のゴムマリ、火鉢の灰の中のミシン針、いかに取ればいいか?
→一太郎,お母さん,賢ちゃん,広ちゃん,お父さん

作品一言紹介
小松龍之介名義で書かれた少年ものの連作短篇。昭和十七(1942)年の少年倶楽部新年号〜翌十八年の新年号までと同年四月号に連載された。なお最終話「ゴムマリとミシン針」のみ戦前未収録で昭和二十二年十二月に京橋書房から出た書籍『魔法眼鏡』で発表されている。
最初二話は[智恵の一太郎ものがたり]、三話〜八話までは[一太郎ものがたり]だったが、九話〜連載ラストの十四話は[科学少年ものがたり]になっていて、完全に科学ものの不思議を取り扱っている。ただ連載から外れた最終話は初期と似たような設定のちょっとした謎解きや智恵を生かした話だった。いずれも主人公は知識欲旺盛な小学六年生の明石一太郎君が主人公を務めていて、大体同級生が出てくると、日常の謎や普通の智恵を活かす系、大学生の高橋一郎が出てくる話は科学系の謎、田舎の伯父さんが出てくると、昆虫系の謎といったところであった。


乱歩の世界トップへ戻る