何者


登場人物
ある人=私=松村,私(書き手),明智小五郎,甲田伸太郎,結城弘一,志摩子,結城少将,結城夫人,琴野三右衛門,北川老人,琴野さん,常さん,波多野警部,赤井さん,久松,琴野光雄

主な舞台
鎌倉の少し向こう(由井ガ浜と片瀬の中間くらい),由井ガ浜

作品一言紹介
結城邸において、奇怪な盗難事件が発生した。その際に長男の弘一君が拳銃で撃たれ、なぜか金庫や現金は無事であるのに、とるに足らぬ金製品だけがなくなっていたというものなのだ。外に続く足跡は井戸で往復ともに途切れている等、謎多いこの事件の真相は・・・・・・。所謂乱歩らしさは非常に薄くなっているがその分理知的な本格度では随一と言って良いだろう。なお、明智小五郎も心憎い登場を示してくれるのが楽しく、また意外な動機の着想が特に圧巻だ。

章の名乱舞(参照はちくま文庫)
【一 奇妙な盗賊】【二 消えた足跡】【三 金ピカの赤井さん】【四 病床の素人探偵】【五 逮捕された黄金狂】【六 「算術の問題です」】【七 砂丘の蔭】

※(異本たる春陽堂バージョンに於ける異章題)
まず全ての章題の漢数字が全て存在しない。他は下記のとおり
病床の素人探偵→【病床のしろうと探偵】,砂丘の蔭→【砂丘の陰

著者(乱歩)による作品解説(ちくま文庫引用)
「時事新報」夕刊一面の中編小説として、昭和四年十二月から、五年一月にかけて、三十回ほど連載した。これは私の癖を少しも出さない純本格ものであったが、私の体臭のない作品というので、余り問題にされなかった。しかし、甲賀三郎君など本格派には、私には珍らしい夾雑物のない本格ものとして歓迎されたようである。この作の犯罪動機は内外に前例のない独創のトリックにはちがいないと思う。

※(注)実際には、「時事新報」夕刊に昭和四年11月27日から12月29日にかけての全28回連載である。


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