乱歩邸土蔵伝奇

著者:川田武

光文社文庫版


備考

これは快作と言って良いのではなかろうか。江戸賀乱歩、小酒井不忘、浜尾三郎、彼ら三人、現実の影響も受けた設定たる、虚構の探偵作家が登場し大いに盛り上げ、そして意外や意外をも越える綺譚を形作る大SFロマン。
乱歩と龍馬が出会う時、それは土蔵を介して時空を乗り越える時。まさに明智と小林少年の二人が時空を越える時である。龍馬暗殺の真相の驚きを迎えるに、奇想天外この上なしの恐るべき歴史形成、ゆえに下手に中途半端では無い、その圧巻の幻想ゆえに、面白さが引き立ってくるのである。
さてさて、乱歩休筆中の昭和8年に起こった秘密とは一体いかなるミステリイだったか!?
下に記した目次をご覧になればわかりますが、まさに文字通りの時空ファンタジー。

ボソッと、ちなみに現実の探偵小説界情報でも、少し首を傾げる記述があったりするなど、突っ込みたいところもあるが、こういうのは恐らく幕末ファンなども得意分野で抱く感慨なのかも知れず……、大目に見ましょう。


目次

第一章 ルビンの盃 

第二章 名探偵・明智小五郎誕生

断章  敵は本能寺に

第三章 乱歩、竜馬に会す 

第四章 竜馬暗殺の夜

第五章 乱歩・変身の謎

終章  土蔵に降る雪