東京書籍
山前譲、新保博久 編著
ひとたび乱歩ファンになれば、その聖地とも言うべき池袋の乱歩邸、いや伝説の土蔵に入りたくなるのが人情というものだろう。本書はその渇望して病んでしま、もとい止まなかった待望の一冊なのだ。
先ず正真正銘の書籍の方であるが、土蔵外観から蔵書書影までカラーページも充実している乱歩所蔵の探偵小説蔵書目録である。時代を生き抜いた探偵本たち。夢想し幻影の世界へ旅立つと例え目録だけでも思いの外楽しい。まさに素晴らしいの一言につきるだろう。内容については後で記す目次を参照。
次にバーチャルの方だ。これほど乱歩ファンを感激させニヤニヤさせてしまうデータCDも無いだろう。バーチャル体験で乱歩邸を玄関から歩き回れるのだ。その遊び心たるや、まさに探偵小説にも通ずる精神でもある。乱歩邸応接室、書斎、そして土蔵。こんなソフトがあってもいいのかと歓喜しながら思うほどの感動。詳しく書影、中身などまで見られる本はほんの一部限られてしまうのが少し残念な所ではあるが全部書影や内容説明を示せ、というのは、まぁ無理な注文でもあるだろう。まぁ、ともかく部屋部屋やそのリファレンス可能な本については編著達のお気ままな解説があるのが嬉しい。とにかく土蔵体験出来る逸品なのである。
そして書庫探索ソフトによる乱歩蔵書の内の徳川本を除いた約20000本にも及ぶ細かいデータベースの秀逸さによる、歓喜は言うに及ばないだろう。これもある意味バーチャルに乱歩邸土蔵で本を探し回っているかの如くなのだ。研究には面白い。
更に乱歩と正史の湖畔の肩組み映像も収録されているのは豪華過ぎるおまけであった。
参考までにCD-ROMの動作環境はついてはこちらに転載しておいた。動作環境を充たしたパソコンをお持ちの方には絶対お奨め。いや充たして無くとも買わなきゃ損(かくいう私のマシンも当落線上スペックだ)、後悔する事間違いなしの世紀の超絶品であるだろう。
以下に書籍の目次を記す
第一章 偉大なる探偵作家・江戸川乱歩、その生涯を辿る 山前譲
第二章 鼎談―蔵に蠢く 新保博久/山前譲/喜国雅彦
第三章 江戸川乱歩はいつも二度ベルを鳴らす 新保博久
あとがき
江戸川乱歩―著作一覧表
平成乱歩主要クロニクル
蔵書目録データ
【1】日本人作家
【2】外国人作家(翻訳)
【3】外国人作家(洋書)