一九三四年冬―乱歩

著者:久世光彦

新潮文庫版

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私の感想とお奨めの言葉(=読書記録の備考)

本格長篇を志した「悪霊」の行き詰まり、中絶によって、通俗長編しか書けない自分に嫌気がさし、危機的な心理に陥っていた乱歩四日間の話。その間に「梔子姫」という架空の乱歩中編が描かれる。(つまりこれが久世氏の"贋作乱歩小説"ということだ)乱歩の奇態には驚かされるが、微笑ましいような気もしないでもなかった。全体で言えば、時代の雰囲気に浸ることの出来る逸品。


目次

序章 張ホテル

第一章 梔子姫

第二章 ミセス・リー

第三章 偏奇館主人

第四章 あ(口+亞の漢字)者の声

第五章 ポインセチアの秘密

第六章 神々の蝶