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(旧)真実究明掲示板の過去ログ1


うわん
さんの疑問
ポプラ社の少年探偵シリーズの最新バージョンから「一寸法師」と「三角館の恐怖」のふたつの作品が削除されているという話を小耳にはさんだのですが、本当でしょうか? また、「一寸法師」はともかくなぜ「三角館の恐怖」が削除されるのか分かりません。そのへんのことも詳細をご存知の方、教えて下さい。情報元は結構信頼できるのですが・・・・・。

・もともとポプラ社の少年探偵シリーズには問題があって、1〜26巻と27〜46巻では全然性格が違うのですよ。前者は『怪人二十面相』に始まる乱歩自身が初めから子供のために書いたものなのに対し、『黄金仮面』に始まる後半は、乱歩が大人向きに書いたものを代作者が子供向きに書き直したものなのです。だから文章はどうしようもないし、内容的にも問題が多く、「二銭銅貨」など明智が出ないものにまでむりやり登場させたりしています。最大の問題は乱歩は大人向きの作品に使ったトリックやシーンをアレンジして子供ものに使っているのに、ポプラ社ではその元ネタからのリライト本をいっしょくたに出したものだから、『魔術師』と『塔上の奇術師』(時計台のシーン)、また『仮面の恐怖王』(船内監禁シーン)みたいにそっくりな場面のある作品が同じ全集に入ったりしています。で、藤田新策氏の装丁で全面リニューアルするのを好機に『一寸法師』『三角館の恐怖』を含む作品を外してしまったわけなのです。ま、僕の推測では文句の出そうな描写や差別語を削った上で、身軽になろうというのが本音ではないでしょうか。ちなみに山中峯太郎訳のホームズ全集はとっくに消えていますし、怪盗ルパン全集は近々のリニューアルで訳者の南洋一郎のオリジナルやボアロー&ナルスジャックのパスティーシュ、さらにはルブラン原作でもルパンものでないものなどをゴッソリ削除します。[芦辺 拓]
・なるほど〜。私は、ポプラ社の少年探偵団シリーズ、全く無知そのものだったので、非常に勉強になりますね[あいなっと]
・初めまして、ヒカルです。少年探偵団シリーズは中学の頃かなりハマッて読んでました。その時は「一寸法師」と「三角館の恐怖」がありましたよ。べつに内容読んでいて何も感じなかったのですが・・・今となって発見された差別用語や好ましくない表現などあったのでしょうか??[ヒカル。]


松村武
さんの疑問
中島河太郎氏作成の乱歩の年譜に、「大正4年:ドイルの短編を翻訳」とありますが、この時乱歩が翻訳した作品は何ですか?本邦初訳だったのかなあ。

・『貼雑年譜』によるとドイルの「グロリア・スコット」「舞踏人形」「試験騒ぎ」を訳したとあります。たぶんこのことでしょう。先の二つはノートに下書き、あとの一つが小型手製本とあって、いずれも図書館で探し出した原書を自分で訳しただけで公刊はされていません。なお、ドイルのホームズものは明治時代からけっこう訳されていますから初訳ということでもなかったでしょうが、ちゃんとした翻訳書はあとになってからで、だからこそ乱歩も原書で漁ったのでしょう。それにしても「試験騒ぎ」って何だ。「三人の学生」か?[芦辺 拓]
・試験騒ぎ、どういう翻訳をしたらこうなるの?[あいなっと]
・あれって、カンニングをめぐる話じゃなかったですか?[芦辺 拓]
・確認したら、そうだったですね。話を忘れかけてる。(汗)でも何で題名通り直訳しなかったんだろ。[あいなっと]


うわん
さんの疑問
「妖虫」に出てくる三笠竜介氏はラストにネコを殺しますが、あれは必要ないのではないですか? 依頼人は救ってしまったのですから。

・あれねえ……やっぱり引っかかりますよねえ。あのハッタリをやりたいんだったら、赤い絵の具を詰めた袋でも置いときゃすむのにねえ。三笠探偵、あの猫に怨みでもあったんじゃないか? あとで「あれはいい板使った天井なのに!」って家の人に怒られたかもしれませんね。そういえば、少年物でせっかく慣れた虎を殺しちゃうのがありましたね。えっと、あれは……[芦辺 拓]
・私はまだ「少年もの」の方の「赤い妖虫」(でしたっけ?)しか読んでいないのですが、幼心にやっぱり同じことを思いました。猫殺すなんて・・・(しかも少年ものの方は明智が殺したんですからショックは大きかった)。[諸戸道雄]
・必要ないと言えば、「蜘蛛男」のラストの明智の行動ほど必要のないものはなかったと思います。[鎮西]
・そうですねえ。従う娘さんたちも娘さんたちですが、大衆ヒーローとしての〈探偵〉はやはりド派手な演出で幕切れを飾らなくちゃならなかったんでしょう。これが、現今のエキセントリックなだけの名探偵と違うところかも。[芦辺 拓]


安藤京子
さんの疑問
乱歩が鏡に興味をもったのは、どういういきさつからでしょうか?小さい頃に鏡やレンズで、なにか怖い思いでもしたから作品中に取り上げるのでしょうか?

・随筆「レンズ嗜好症」にそのあたりのことが詳しく出ています。中学一年ごろ、今でいえば登校拒否で部屋に閉じこもってピンホールカメラの原理で雨戸の節穴から障子に映る景色を眺めたり、父親からもらったレンズをもてあそんでいるうち、偶然巨大な映像が天井に映ってびっくりした――というのが原体験らしく、「その時以来、私の物の考え方変ってしまったほどの驚きであった」そうです。『湖畔亭事件』の最初の方に、このときの体験がほぼそのままの形で用いられているので参照してみて下さい。[芦辺 拓]
・「レンズ嗜好症」と言えば、河出文庫の乱歩コレクションV「群集の中のロビンソン」とかちくま文庫の随筆選にありますね[あいなっと]


諸戸道雄
さんの疑問
すみません。下の続きです。「孤島の鬼」で深山木は「恐ろしいものを見た」っていうふうにだいぶ事件の核心に近づいていたと思われるので、当然鎌倉の海でたとえ周りが子供でも用心してて不思議がないと思うんですが、どうしてあんなに脅迫状におそれをなしていた(犯人を知っていてもよろりかろうが)のに、簡単に殺されてしまったのでしょう。特に七宝焼きの壺のことにも気づいていたのに不思議です。

・深山木は捨てゴマだったから……というのは、ご都合主義的解釈として、彼がふだんから子供に対しては無防備だったという伏線はあるわけですし……あっ、そうか花瓶に気づいていたのなら、敵がどんな姿をしているかも見当はつけられたわけか。うーむ……[芦辺 拓]
・私見ですが、あれは深山木が犯人が子供であることを知っていたからこそ、その犯人を誘う意味であのような行動にでたのではないでしょうか(これは明智小吾郎もよくやることですが)。しかし、殺害の方法があまりにも大胆で予想外だったもので対処する前に殺されてしまったと考えられます。しかし白昼の砂浜ということで、衆人環視のもとでの殺人なら、たとえ自らが殺されたとしてもこの事件の真相につながる手ががりを残せるとも考えたのかもしれません。事件の真相を言葉ではっきりと伝えたがらない深山木らしい行動としてこの部分は読んだのですが。[鎮西]
・※下にあった、ミスは削除しておきました。[あいなっと]


松村武
さんの疑問
乱歩がデビュー前に書いたという手製本「奇談」(「たん」の字は間違い。でも僕のパソコンじゃ出ない・・・)を読んでみたいのですが、どうやったら読めるのでしょう?写真複製とかってあるのでしょうか?

・『奇譚』は講談社の江戸川乱歩推理文庫に入っていますよ。入手難と思いますが、この世に一冊しかなかった状態からは改善されたわけです。ちなみに今度のちくま文庫『乱歩の幻影』にその本にちょっと触れた拙作短篇が収録されました[芦辺 拓]
・ご教示有難うございます。「乱歩の幻影」の御作も拝読しました。パート2を無くさなければ、かあ・・・。[松村武]
・「乱歩の幻影」といえば、一部の作品のインパクトが・・・・・・、少なくとも電車内で読むもんではないな[あいなっと]


Jr
さんの疑問
私は春陽社の本で乱歩作品を読んでいるんですけど、出版社によってかなが漢字表記になってたり、すごいと一文丸々抜けてたりしているのに気がつきました。これではどっちが正しいのかわかりません!何か知っている人、教えて下さい!!

・この件については、「夢野みさを」さんと「芦辺 拓」さんが、掲示板のNO.140番台中後半で詳しく説明してくれています。[あいなっと]
・「丸々一文抜けてたり」は初耳です。ぜひその個所、掲示板の方ででもご教示下さい[芦辺 拓]


Jr
さんの疑問
タイトルに関して。「目羅博士の不思議な犯罪」、「目羅博士」、両方あるのは何故?

・「目羅博士」は後に単行本か全集に収録する際に縮めたもの、「〜の不思議な犯罪」は、雑誌初出時のものでしたよね?横溝正史にも「山名耕作の不思議な生活」てのがあるから、この当時の流行のタイトルだったのか?でも長い、ということで乱歩自らが削ったのだと思います。[松村武]
・そうそう。そうらしい。松村さんの言う通りです。ええ[ほろ酔い加減]


松村武
さんの疑問
「鏡地獄」の冒頭に近い箇所に出てくる「将門めがね」って何ですか?

・うまく説明できませんが、レンズの部分がちょうど蜂の巣のように六角形を組み合わせた凹凸がついていて、一つのものがいくつにも見えるというものです。平将門が何人もの影武者を持っていたことに由来します。昔、友達が買ったマーブルチョコレートのキャップ部分にそういう処理が施してあって、その子はそれを時計屋さんが修理用のレンズを装着するみたいに目のところにはめ込んで、悦に入っていました。[芦辺 拓]


あいなっと
さんの疑問
明智くん以外で江戸川乱歩作品で好きな探偵は誰ですか?

・ちなみに私は畔柳博士です。[あいなっと]
・僕は幽鬼の塔の河津三郎が好きです。あの素人っぽい素人探偵振りと最後のセリフがいいなあというわけで。[Yoshiki]
・やはり畔柳友助氏でしょう。なんといっても探偵というのは紙一重の存在ですからね。[うわん]
・「一枚の切符」の左右田(あれ?松村だっけ?どっちが探偵役か度忘れしてしまった)。明智の原型ですね。[松村武]
・『妖虫』の三笠竜介。『緑衣の鬼』の乗杉竜平と区別がつかないが、なかなか頼りになります。しかし、三笠探偵があんな髭むじゃに眼鏡の、他人が化けやすい顔をしていなければ、要らぬ悲劇を防げたような気も。[芦辺 拓]


松村武
さんの疑問
「何者」の最終章のタイトルが「Thou art the man」(確かこんな感じ。間違っていたらごめんなさい)となっていて、「一体、何と訳すのだろう?」と思っていたところ、E・A・ポオの「おまえが犯人だ」の原題を見て納得したのですが、出典は分かっても、どうしてこれで「お前が犯人だ」と訳すのか分かりません。何かの英語の慣用句でしょうか?どなたか教えて下さい。

・Thouは英語の古語でYouと同じ。artはareと同じ意味。ということは?[Yoshiki]
・文字通り“You are the man”=「汝こそその人」を「おまえが犯人だ」と解したものとばかり思っていましたが……[芦辺 拓]


ちえき
さんの疑問
人間椅子とは、読者に何を伝えたかったんでしょうか?

・人間の五感の中で視覚(或いは聴覚)のみが優先され、それで他人を判断することの一面的なことを訴えたかったのでは(深読みしすぎ?)でも、「盲獣」の「触覚芸術論」を読んでも乱歩は触覚に拘っているし。あと、乱歩にインスパイアした作品として、谷崎潤一郎の「柳湯の事件」の触覚の気味悪さも挙げたいところです。[松村武]


なくも
さんの疑問
乱歩の戦中長編「偉大なる夢」の中の一章に、「敵機来襲」というものがありますが、どうしてこんなに無意味なものが挿入されたのでしょう。読まれた方、戦時中だからということ以外に思いつかれたなら是非教えて下さい。

・少し長くなりそうなので掲示板のほうに書きました。[Yoshiki]
・私も掲示板の方に書きます。[うわん]
・でも確かに物語の流れからして唐突ですよね。[うわん]


松村武
さんの疑問
中絶した「悪霊」の続きを、横溝正史が書き継ぐ、というような話を、昔、新聞で読んだ記憶があるのですが(もう20年近くも前です)、あれは何か構想は出来ていたのでしょうか?横溝正史も亡き今となっては雲を掴むような話ですが、どなたか詳細を知っている方があればお願いします。

・少なくとも横溝氏が書き継ぐという話は聞いたことがありません。[芦辺 拓]
・悪霊島のことじゃないでしょうか?悪霊をモチーフに書いたということで。推理作家の土屋隆夫さんが悪霊を書き継ぐとおっしゃってるようです。話はかわりますが「法月倫太郎の冒険」には騙された。[ぱんぴー]


ちり
さんの疑問
乱歩は人形フェチだったといわれていますが、本当ですか?小説を読んだ限りでは、常識人としか思えないのですが。

・そう?寧ろ、小説を読んだ限りでは、限りない人形フェチで(「ひとでなしの恋」「押絵と旅する男」他)、随筆などを読むと(どっかの人形師を訪ねた話とか)、常識人としか思えないのですが・・・。だから結局、常識人ということか・・・。[松村武]
・乱歩って、意外と常識人らしいし[あいなっと]
・何をもって常識人とするかは難しいと思いますが、ちょっと常識的にみえる人ほど世に言う異質な世界にひかれたりするということはあると思うし、そういう人ほど、実は奥が深そう。[魚彦]
・違うと思います。乱歩の家に人形なんてほとんどないですよ。[エツコ]


たいせー
さんの疑問
小説「鏡地獄」で内側に鏡を貼った球体に主人公が入るのですが、その中ではどういうふうに映るのか20年近く悩んでいます。

・ちなみに乱歩は大学教授か誰かに確かめた上で小説を書いたそうです[たいせー]
・ブルーバックス「物理質問箱」の受け売りですが、鏡内部に光源が無ければ何も映りません。あったとしたら球体の中心にあるものが全体に映るけど、その時の目の位置は?目が中心にあれば、球体内部全体にどデカイ目が映ります(ゲゲゲ・・・気持ち悪い。発狂するのも当然)。[松村武]
・実際は目だけじゃなくて顔や胴体があるわけだからねえ。眼が中心にくるとも限らないし。やっぱ実際に見るのが一番じゃないですか。僕は将来金持ちになったらやってみるつもりです。[Yoshki]


鳩岡
さんの疑問
中井英夫の『虚無への供物』についてなんですが、蒼司が犯したのは2つの殺人だけですよね?じゃあ、他のは全て偶然なんですか?

・偶然といえば偶然ですが、作品の雰囲気からはどうもそれ以外の可能性も感じられますね。[うわん]


しげ
さんの疑問
小林少年って、学校は行ってないの? 家族は?

・戦後編で小林少年2代目になってなかったけ?[あいなっと]
・だから毎回同じワナにひっかかるのではないですか?[なくも]
・明智さんは各方面に顔が広いですからね。どんな特例を認めさせたのやら。何といってもアケチ一号(車!)を運転しているくらいですから。[うわん]
・北村想の『二十面相伝』では二代目になってたと思うけれど。[魚彦]


しげ
さんの疑問
乱歩作品の「猟奇の果」は正しくはどうですか? 「猟奇の果」? 「猟奇の果て」?

・私の学校にある本では「猟奇の果」でした。[みっつ]


Yoshiki
さんの疑問
黒ビロードって何ですの?

・黒いビロード、黒い織物の一種じゃない[あいなっと]
・「ビロード」とは確か、「ベルベット」の昔風の言い方では?ベルベットって、あの、テカテカ光沢のあるゾゾゾッとした布ですよね?違うか?[松村武]
・暗室をつくるときに使う暗幕のようなものだと解釈していましたが。[なくも]


しげ
さんの疑問
明智に刑事と犯罪者以外の友人はいるのでしょうか?

・[[Yoshiki]
・「D坂」と「黒手組」に出ていた「私」(「一寸法師」によるとおそらく名は小林紋蔵)かな?[Yoshiki]
・そうだ! 被害者の家族だ![しげ]
・二銭銅貨でまんまとだまされた友人。(だました方がどうも偽名をつかった明智っぽいので)[なくも]
・『化人幻戯』を見ると江戸川乱歩とは仲のいい友達のようですよ。乱歩が「親友の明智小五郎が……」と大河原元侯爵に電話してますから。[芦辺 拓]


あいなっと
さんの疑問
明智は上海で何してたんだろう。やっぱりスパイ活動?

・どうやら明智は旅行好きらしいですよ。シナにも行ってますし。[しげ]
・明智はどうも軍部と深いつながりがあるような・・・・。[うわん]