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Re: 列車の中で奇譚を聞かされる話
投稿者
松村武 -
2001年10月29日11時06分 |
鮎川氏には何ですが、この手の話は、乱歩「押絵が…」以前からポピュラーな手法だったと思います。
僕が知る限りでは、このパターンは、芥川龍之介「西郷隆盛」(大正6年)が一番古いのではないかと思います。確か、学生が寝台車の中で会った人物と日本史に関する議論を始め、「西郷隆盛生存説なんてバカバカしい」と言ったところ、その人物から「実は、私の連れが西郷隆盛なのだ。ウソだと思ったら、そこの寝台を覗いてみろ」と言われ、学生が覗いたところ・・・、というような話だったと思います。
因みに、西南戦争で死んだ筈の西郷隆盛が逃げ延びて生存している、という説は明治時代に良くあったそうで、「来月、西郷隆盛が帰国か!?」なんてガセネタ記事が新聞に載ったこともあるそうです。
あと、長編の中の一挿話ということであれば、かの夏目漱石「三四郎」(明治41年)の冒頭の章、上京する三四郎が名古屋で一泊し、更に東海道を東京へ向う辺りの話なんかも出来が良くて面白いですね。これより古い小説になると、もう見当もつきませんが・・・。
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