真実究明掲示板



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40 教えてください!!!
投稿者 投稿日 2001年5月19日01時34分
そろそろ卒論に取り組もうかなーって考えてるんですが、テーマで今、困ってます。←遅いですよねー。(笑)
「虫」、「人でなしの恋」、「押絵と旅する男」あたりで、主人公の生身の人間ではないものに対する感情をテーマに進めようかなと思っています。これって可能でしょうか?
宜しくお願いしますーー。


Re: 教えてください!!!
投稿者 松村武 - 2001年5月21日18時50分
>葵さん
構想で挙げられている作品からは、非常に興味深いものが出来ると思います。乱歩の創作では、ご指摘の3作が圧倒的ですが、死体・人形偏愛傾向のある周辺作品として「白昼夢」「百面相役者」「踊る一寸法師」「目羅博士」辺りもフォローされては如何でしょうか。あと、今思い出せないのですが、乱歩のエッセイにも、人形への愛情を記したものがあったと思います。
なお、ご存知かも知れませんが、この傾向の先達の作品として、谷崎潤一郎「青塚氏の話」(ちくま文庫「美食倶楽部」他、所収)ドイツ・ロマン派のE・T・A・ホフマン「砂男」他(岩波文庫「ホフマン短編集」所収)、米国からはE・A・ポオ「アッシャー家の崩壊」「楕円形の肖像」他(創元推理文庫、他)、A・ビアス「モクスンの人形」(収録作不明)、あと本格ミステリからはD・カー「曲がった蝶番」(創元推理文庫、他)を挙げたいと思います。いずれも乱歩の死体・人形偏愛に多大な影響を与えたと思いますので、併読されれば幸甚です。
その他、評論関係では、所謂「ピグマリオン・コンプレックス」を扱った、澁澤龍彦や種村季弘の評論集もお勧めです。

ありがとうございますー!
投稿者 - 2001年5月25日00時55分
松村さん!感謝、感謝です。なんか先が見えてきたって感じ。早速、教えて頂きました文献にあたろうと本をひっくり返してみました。すると結構、人形偏愛についてコラム程度ですが書かれてるのがいっぱいあるんですねー。
また、また前が開けた!って感じです。また、分からないことが出てきたら宜しくお願いします。本当にありがとうございましたー。
39 横溝正史の少年物
投稿者 インド 投稿日 2001年5月3日01時46分
 横溝正史の「黄金の指紋」という本を以前入手したのですが、金田一が何かものすごいことになっていて、途中で読むのをやめた上になくしてしまいました。「怪獣男爵」シリーズという少年物の中の一冊だということです。よく覚えていないのですが、金田一が派手に椅子の中から登場したり、ピストルを撃ったりで、まるで明智小五郎。これって乱歩の少年物の真似をしているのでしょうか。また私は乱歩ファンであると同時に横溝マニアでもあるんですけど(と豪語できるほど知識はないのですが)、横溝正史の少年物は読む価値があるものなのでしょうか。角川の作品を全部揃えたいのですが絶版の物の中には物凄く高いものもあって、どうしようか迷っています。あまり乱歩と関係なくてすみません。


Re: 横溝正史の少年物
投稿者 アイナット - 2001年5月5日00時24分
質問の件ですが、横溝正史の少年物を全く読んだことのない私が、レスを打つのもなんですが、何でも、由利先生やら、三津木記者が探偵役の話を無理矢理金田一ものに代えているらしいです。
詳しくは、私が密かに毎々日ROMしているコースにある、本格探偵作家・芦辺拓さんの《芦辺倶楽部》(http://www.hoops.ne.jp/~ashibe/)にある掲示板過去ログ(Guest boardのpast)18と19(記事ナンバー1700前後=http://www.tctv.ne.jp/tuckf/Ashibe_bbs/list.htm)をご覧ください。

Re: 横溝正史の少年物
投稿者 インド - 2001年5月5日03時27分
そうだったんですか!どうりで。
アイナットさん、ありがとうございます。早速芦辺拓さんの記事を読みました。別の意味で非常に面白そうなので部屋をあさって見つけて読んでみます。しかし著者に無断でこういうことをするのってありなんですね。ひどいな。


Re: 横溝正史の少年物
投稿者 黄光明 - 2001年9月9日13時19分
<質問の件ですが、横溝正史の少年物を全く読んだことのない私が、レスを打つのもなんですが、何でも、由利先生やら、三津木記者が探偵役の話を無理矢理金田一ものに代えているらしいです。>

なるほど、そうだったんですか。横溝の少年物でもそういう小細工をしていたんですね。
江戸川乱歩のポプラ社の少年物でも、別の探偵や刑事が解決した事件の話を無理やり明智探偵に置き換えているものが結構ありましたね。

Re: 横溝正史の少年物
投稿者 ななこ - 2002年3月5日20時02分
もうタイトルはすっかり忘れてしまいましたが、1作だけ読んだことがあります。確か主人公が御子柴君という新聞記者見習いの少年で、ストーリーは少年探偵団物とあまり大差さがなっかたような気がしますが、雰囲気はもっと猟奇的だった気もするなあ。御子柴少年シリーズが何作か出ていたという話も・・・・今、必死に記憶をたどっています。
38 金之助
投稿者 智芳道人 投稿日 2001年4月28日13時01分
 僕の手元にある、創元推理社の登場人物のところに、蓑浦君の名前が”金之助”になってるんですが、本編のどこに名前が出てるんでしょうか。

再読の結果
投稿者 アイナット - 2001年5月4日23時54分
どこにも出てきませんね。そもそも箕浦に名前があることも、創元推理見るまで、知りませんでした。
さて、考えられることは、「朝日」連載中の各回のはじめにあったという、前回までの梗概にフルネームが出ていた?とか推理するしかなさそうです。

真相はどうなんでしょうか?識者の方の意見、解答をお待ちしています。お願いします。
37 楠田匡介とは?
投稿者 アイナット 投稿日 2001年4月15日23時30分
前々から疑問に思っていました。それは楠田匡介。
乱歩のルーブリックでも紹介されているように脱獄もので有名?な探偵作家であるわけですが、この楠田匡介のペンネームと、戦前の新青年で連載された連作探偵小説「楠田匡介の悪党振り」の主人公楠田匡介との間に何か関係はあるのでしょうか?
かなり疑問に思っているところなのですが、どうなんでしょう?
どなたか何かヒントになることでも、ご教示頂けると幸い至極です。


Re: 楠田匡介とは?
投稿者 松村武 - 2001年4月17日12時26分
楠田匡介のペンネームに、そんな由来があったとは知りませんでした。余り参考にはなりませんが、僕が知る彼の情報は下記の通りです。
明治36年北海道生。本名・小松保爾。昭和6年の「グロテスク」なる雑誌(未詳。乱歩が若いときに企画したけど、反響がなくて頓挫したという雑誌とは関係ないでしょうけど)に「乳房を食べる」なる作品を発表。戦前の作品は他にもあるみたいですが未詳。
昭和23年、「雪」「紐」の作品で注目を浴びる。どちらも今では密室&不可能犯罪の教科書的なトリックとして有名。この時から「楠田匡介」のペンネームを使っているようです。
昭和32〜33年、旧「宝石」誌に「脱獄を了えて」「沼の中の家」などの傑作群を発表、職業の司法保護司の経験を生かした、脱獄トリック物の第一人者となるも、昭和41年、交通事故死。
で、結局、彼のペンネームの由来や「新青年」の連作との関係は分かりませんでした。ごめんなさい。
僕も彼の作品を探していますが、文庫化もされていないし(アンソロジーでポツポツ読むしかないのでしょうが)、最近、旧「宝石」誌を集め出しているのですが、未だお目にかかっておりません。

Re: 楠田匡介とは?
投稿者 アイナット - 2001年4月18日23時29分
松村武さん、ありがとうございます。
楠田匡介について、大変参考になりました。
旧「宝石」を集められているのですね。確かにあの時代の作家を確実に読むのには一番いいかもしれませんね。
ちなみに一応述べておくと、連作「楠田匡介の悪党振り」は、春陽堂の復刻版「創作探偵小説集」の昭和2年のものであります。
しかし匡介の漢字まで同じだというのが、やっぱり気になりますね。明治36年生まれということは、まずリアルタイムで新青年の該当号を読んでそうですし。

楠田匡介は、江戸川小乱歩!
投稿者 アイナット - 2001年4月30日01時54分
山前譲の「わが懐旧的探偵作家論」という本で、全て解決いたしました。やはり楠田氏のペンネームの由来は、連作探偵小説「楠田匡介の悪党振り」が元になっているようです。なんでも、当時の新青年の読者でこのネーミングが頭に残っていたとのことで、ついつい無断借用したとのことです。つまりこの連作の第一回担当で、真の命名者の大下宇陀児にも黙って借用とのことですね。
とりあえずちょっとした疑問が解けて嬉しい限りです。

で、更なる面白い話に繋がりました。これは乱歩の世界的でもあります。
なんとこの楠田氏、その後、ペンネームを江戸川小乱歩に改名しようと本気で考えていたそうです。しかし乱歩に相談し許可を求めると、乱歩に、そりゃあ、困るよ、と言われ、それっきりになってしまったとのこと。さすがにここでは無断借用は無理だったようです。
なかなか面白いエピソード2連発、恐るべき楠田匡介です。

発見ですね。
投稿者 よろりん - 2001年5月1日02時37分
その様な人がいたとは知りませんでした。
「小乱歩」ですか、さすがにそれは無理ですよね。
ところが、よくみたら春陽文庫「屍を」の中で、
乱歩出題「魔王殺人事件」に解答編を寄せていました、楠田氏。
全く覚えておりませんでした(^^;。
面白い情報をどうも。
36 乱歩ラジオ出演
投稿者 インド 投稿日 2001年4月13日00時26分
 横溝正史の「びっくり箱殺人事件」がラジオドラマ化され、乱歩をはじめとする有名文士達が出演したことがあったそうですが(今手元に本はないのですが確か乱歩は探偵役)、こういった企画はしょっちゅう催されていたのでしょうか?またこれをなんとかして聞く手段はないのでしょうか?

Re: 乱歩ラジオ出演
投稿者 アイナット - 2001年4月15日00時57分
そのようなものも存在するのですね。いやはや知りませんでした。聞く方法があるのならば、私も知りたいですね。ああっ、質問に答えてません。答えれません。申し訳ない限りです。

Re: 乱歩ラジオ出演
投稿者 松村武 - 2001年4月16日13時07分
角川文庫「びっくり箱殺人事件」の中島河太郎氏の解説によると、昭和24年頃、JOAK局(多分、現在のNHK第一だと思いますが)でラジオドラマ化されていますね。探偵作家クラブの懇親会の一環として開催、配役は主人公の深山幽谷(モデルは徳川無声)に乱歩、ヒロインの紅花子は宮野叢子(戦前のペンネームは紅生姜子)、その他、楠田匡介など推理作家が勢揃いで出演、時間はたったの一時間だったそうです。なお原作の横溝正史は体調を崩して欠席しています。
こういう作家同士の懇親のため文士劇を行うのは、ラジオドラマはともかく、劇場を借りたりして、戦前から良く行われていたようです。最近でも日本推理作家協会で作家間の懇親のため、何年振りかで素人劇をやった筈です。過去の有名なエピソードは、A・クリスティ原作の劇をやった時、ポワロの役を乱歩がやったのですが、ポワロは禿頭(厳密には違うそうですが)で乱歩に打ってつけだったのに(失礼)、乱歩は禿頭の上に、わざわざ禿頭のカツラを被った、というエピソードでしょうか。
ところで、この録音を聞く方法ですが、申し訳ないですが見当もつきません。NHKのフィルム・テープのアーカイブスに保管されているのでしょうが、一般の試聴は無理なのではないかと・・・。問い合わせてみては如何?
なお蛇足ながら、NHK第一、第二では、ごく稀に古いラジオ番組の録音を再放送していることがありますので要注意。2、3年前に、英会話番組の前に何気なく聞いていた番組で、内容が戦前の探偵小説の話や海外ミステリの話で、「一体、誰が喋っているんだ?」と思いながら聞き流していましたが、後になって、それが昭和30年代前半に録音された乱歩の肉声だったことが判明、録音できずに悔しい思いをしました。因みに乱歩の肉声は、僕が想像していたのとは全く違って、意外なほど甲高い声で早口でした。殆ど内容は忘れましたが、一つだけ覚えているのは「E・A・ポオ以前に、きっと欧州のどこかの小国で、探偵小説が生まれていたに違いない。未だ確認できないけど、それを調べるのが楽しみだ」と言っていたことでした。

Re: 乱歩ラジオ出演
投稿者 インド - 2001年4月16日16時38分
アイナットさん、松村武さん、ありがとうございます。
 NHKのラジオ、まめにチェックしてみますね。ポワロ役の乱歩、リアルタイムで見たかった……。そのカツラが非常に気になります(>_<)。以前横溝正史が包帯に血糊を付けて、乱歩を含む他の作家と共に写っている写真を目にしたことがあったのですが、それはおそらく文士劇でのものなのでしょうね。それにしてもポオ以前の探偵小説ですか。そんなことを考えていたなんてさすが乱歩ですね。

Re: 乱歩ラジオ出演
投稿者 アイナット - 2001年4月17日00時58分
NHKラジオって、そうなんですね。これは部屋が無音の時はNHKラジオをBGMにしたら、面白いかもしれませんね。って、私はラジオそのものを生まれてこの方、あんまり聴いたことのなかったのでした。(総時間で百時間も絶対なさそうです(汗))とはいえ、私は乱歩の肉声を聴いたことがないので、狙いたいですね。というよりこの時点で、ああっ、修行不足、と嘆いております。

Re: 乱歩ラジオ出演
投稿者 玉村 妙子 - 2001年6月29日12時47分
たしか「貼雑年譜」か「探偵小説40年」(復刻版)でラジオ出演の事を読んだ記憶があります。乱歩の声ってどんなんだろう、聞けたらいいなぁと思っていた一人です。

松村さん>乱歩の声を聞いていたのですね!それはすごいです!
甲高い声で、早口とは意外や意外。重みがある声と想像していたのですが・・・。録音できなかったのは残念ですね。
35 火星の運河について。。
投稿者 sMoker 投稿日 2001年3月29日04時41分
 はじめまして。伺いたいことがありまして、書き込みさせていただきます。
 恥ずかしいのですが、火星の運河の内容がほとんどわかりません。
 まだ、乱歩の小説は読み始めたばかりで、彼の世界観が正直
つかめていないのが原因だと思いますが、誰が教えてはいただけないでしょうか。お願いします。


Re: 火星の運河について。。
投稿者 松村武 - 2001年3月29日15時39分
「火星の運河」の意味ですか。乱歩の夢の世界を文章で再現した、一種の散文詩と考えれば良いのではないでしょうか?内容的には、一種のユートピア願望(政治経済上のユートピアではなく、肉体的というか、原始的なユートピアです)の表現であり、人間の深層心理に潜む、原始的で被虐的な願望の発露でもあります。ストーリーは、あってないようなもので、長編の一挿話みたいなものです。
乱歩には、こうした薄暗い、地底世界みたいな場所を描いた作品が結構あり、後年の長編「パノラマ島奇談」、「大暗室」がそうです。いずれも乱歩の持つ幼児性、原始性が現れているものです。
また、これらの作品は、ユング・フロイト派の精神分析の観点(特にリビドー、幼時性欲論など)から見ると更に興味深いものがあります。「全ての人間には、胎児の頃、母親の胎内で安らかにまどろんでいた時期への憧れがある」と、フロイトの弟子・マリー・ボナパルトが発言していると思いますが、確か渋澤龍彦か高橋鉄のどっちかが、これを受けて、乱歩の作品に特徴的な「狭くて暗い、生暖かくて閉鎖された場所への郷愁」を、いみじくも「子宮願望」と名付けていますね。
また、芥川龍之介の小品「沼」は、この「火星の運河」に似ています。肉体への異常なまでの固執は、谷崎潤一郎「金色の死」に影響されていると思います。比較してみるのも面白いでしょう。また、黒澤明の映画「夢」のエピソードにも似ているような気がします。
34 鏡花と乱歩
投稿者 雉魔倫 投稿日 2001年3月28日04時06分
はじめまして。少々お尋ねしたいことがあり参りました。
というかきてたんですが、書き込みは初めてです。(笑)
さて、こちらの方でも乱歩について卒論を書かれた、ある
いわこれから書かれる方もいらっしゃると思うのですが、
私もこれから書く準備に入るところであります。
さてテーマなのですが乱歩と鏡花の二大作家を軸として進
めていこうと思っております。あのですね「なんでその二人
を比べるんだ作風もぜんぜん違うじゃないか」といわれるかも
しれませんが、というか実際友人達には言われましたが・・・。
ゼミの先生は何故か押しまくりというか、「いいんじゃない」
みたいに言われたのでまあこれでやろうと思ってるんですが、
大まかに内容を説明するとですなぁ、その乱歩の大正昭和の
都市伝説的な幻想世界と(勝手にそう思ってるだけですが)鏡花
の民間伝承、民間信仰的な幻想世界を比較しつつ日本思想の中で
共通する幻想世界観というのが私にはあるように思えたので、そ
こらへんを中心に書いてみようとおもっとります。あとは構造上
の問題をすこしやる予定です。細かいところをツンツンとつつく
形になるかとおもいます。例えば「高野聖」と「押絵と旅する男」
の枠組みの入れ子型でしたかな?そいった部分だとか、まあそれ
は書いてる方がいらっしゃいますな。旅と汽車というの中々面白
い材料ではありますが。さてながなが書いてしましましたが鏡花
に関する参考文献はかなりみつかったのですが乱歩のものはこれ
といってそそられるものにまだ出会っていません。そこでよい物
があれば教えていただきたいというお願いなのですが、それだと
あまりにも範囲が広いのでまず乱歩は鏡花に関心があったという
話は聞いたことがあるのですが、鏡花について乱歩が語っている
ものエッセイ等があれば教えていただきたいです。それと恐らく
登場する女性像、鏡花なら亡母、いとこなど実在する人物がモデル
になっている部分があると思うのですが乱歩にもそういう一環した
女性像などあれば教えてください。私も頑張って調べてみますが、
もしご存知の方いらっしゃったら、こんなバカ学生の私に協力して
やってください。すいませんねぇ。変な、お願いしてしまって。
では失礼いたします。長々書いてほんとにすみませんでした。


Re: 鏡花と乱歩
投稿者 松村武 - 2001年3月30日12時14分
乱歩のエッセイ等で、鏡花をメインのテーマにしたものはなさそうですが、一部でも鏡花に触れているものには次のようなものがあります。

「不可能説に関連して」
少年時代より愛読してきた日本の作家の系譜として、「涙香・鏡花−谷崎潤一郎−佐藤春夫−横光利一」を挙げています。具体的な作品名は不明ですが、いずれも「反・自然主義」ということでしょうか。乱歩は自然主義文学が大嫌いだったみたいです。

「涙香心酔」
「少年時代、鏡花の『夜行巡査』に強い感銘を受けた」との一節があります。その他、涙香の諸作、広津柳浪「変目伝」等も挙げています。

「一般文壇と探偵小説」(正・続)
明治時代の探偵小説の翻案、探偵実話の流行に関連した部分で、「明治26年、硯友社一派により、春陽堂『探偵小説叢書』全26巻が刊行された。この中には鏡花『活人形』がある、云々・・・」と書かれています。これは涙香の諸作、水田南陽外史『大探偵』等に触発された春陽堂が、同じく探偵小説流行を軽蔑しつつも危機感を抱いていた硯友社の総帥・紅葉に持ち込んで実現した話です。
上記の各エッセイは河出文庫のエッセイ集「一人の芭蕉の問題」他に収められています。

なお蛇足ですが、この「活人形」は明治26年5月刊で、鏡花の処女作と言われる「冠弥左衛門」と同年同月だそうですね。この作品は未読ですが、毒を飲まされて病院に駆け込んだ男の訴えを聞いて、探偵が謎の屋敷に乗り込む、というストーリー。ピストルで撃たれた時、命中していないのに隠し持っていた絵具で血を装い、死んだ振りをするという初歩的なトリックが出てくるそうです。
僕に分かるのは以上のとおりです。ご参考になれば幸甚です。

Re: 鏡花と乱歩
投稿者 アイナット - 2001年3月31日00時16分
私は鏡花に全く詳しくないのですが、松村武さんの挙げられている随筆以外に河出書房新社のハード「日本探偵小説事典」の泉鏡花の所にも一つあります。「活人形」関連で、涙香的論理さはない、怪奇味たっぷりの探偵小説云々などの文章です。これもご参考になるかも、ですね。

Re: 鏡花と乱歩
投稿者 雉魔倫 - 2001年4月2日00時21分
>松村武 様  >アイナット 様
ありがとうございました。参考にさせていただきます。ほんとうに
感謝感謝でございます。早速、探してみたいと思います。今後もお
たずねすることがあると思いますがその際はよろしくお願いいたし
ます。すいませんほんとうにろくなお礼もできませんが・・・。
では本日はこれにて、失礼いたします。
33 ラジオの話ですが・・・・
投稿者 SEN 投稿日 2001年3月26日22時14分
はじめまして。
実はだいぶん前の話で記憶があやふやなのですが,昔NHKのラジオで乱歩の小説が不定期で放送されていました。その中で人間豹の話が放送されましたが,原作のラストが人間豹が生死不明のまま消えていくところで終わったのに対し,ラジオではその後にオリジナルの部分をつけて放送したという記憶があります。
残念なことにその部分を私は聞き逃してしまい今もって心に引っかかっております。どなたかこのラジオ放送を覚えておられる方は続きを教えて下さい。


Re: ラジオの話ですが・・・・
投稿者 大江十二階 - 2001年3月29日00時22分
私もそのラジオは聴いていました。「と、ここで乱歩の小説は終わるのですが……」と解説者が忠告してましたよね。尾藤イサオの「人間豹」は、絶妙の配役でした。
じつは私も、その先がどんな内容だったか覚えていないんです。
しかしながら、根っからの乱歩好きであった私は、すべて録音しております。
乱歩のラジオ劇場を録音したいが為に、「ラジカセ」を買ってしまったんです。(ラジオとテープレコーダーが合体しているんですから、その当時は夢のような機械でした。)
ところが、そのテープが今、すぐには出せないんです。
その当時、「黄金仮面」「魔術師」「吸血鬼」と、順調にテープにきちっと纏めていたのですが、「人間豹」「化人幻戯」は、あっちこっちのテープに録音してあって、未だに纏めていないんです。
もう一度、聴こうと思いますので、暫く待ってください。それまでに、他に覚えている方が居られれば良いのですが。

Re: ラジオの話ですが・・・・
投稿者 アイナット - 2001年3月31日00時10分
そんなラジオもあったんですね。これは全く知りませんでした。それにしてもさすがは大江十二階さん、確実に録音なさっていますね。「人間豹」の別の結末、戦前の乱歩怪人の唯一の生死不明明の蒸発者、人間豹・恩田の行く末の運命は如何に!?なんでしょうか。ついでながら私も気になりますね。

Re: ラジオの話ですが・・・・
投稿者 大江十二階 - 2001年3月31日17時59分
<<ここで、江戸川乱歩作の「人間豹」は終わっている。だが、貴方は何かふっきれぬものを感じておられるであろう。そこで、これからは、我々連続ラヂオ小説スタッフの原作への挑戦である。>>

テープ見つかりました。「人間豹」は、90分のテープ3本に纏まっていました。
御蔭様で、その他にも録音した記憶が無くなっていた乱歩関連のオーディオテープが色々と発見できました。

ラジオのスタッフが創作した「人間豹」の続きは、思ったより長くて、複雑な話になっていました。原作のネタばらしになる部分もあるし、とてもここには詳しく書き切れないのですが、簡単に説明しておこうと思います。

人間豹と瓜二つの岡崎ジョウジという人物が新たに加えられ、一連の女性殺害事件と明智文代誘拐事件の真犯人は誰なのかという話にすり替わっていました。

<<場面は変わって二月後、人間豹の噂が、人々の記憶からまだ薄らいでいない、その年の十一月、日比谷公園からほど遠からぬホテルで、百数十名の名士を招き、今は、恩田家の養子となったジョウジと、ナカノコウジ子爵の令嬢、ケイコさんとの盛大な結婚式が開かれていた。>>

面白いのは、人間豹には妻がいたという真相が加えられたことです。その妻に裏切られ、その悲しみと憎しみから豹に変身したと言うのです。(う〜ん、どうかなあ)
いつも、原作に忠実なラジオ小説でしたが、「人間豹」の時だけ、いらぬ小細工をしたようですね。ただ、明智文代が復活して、活躍してくれたことが嬉しかったです。

<追記>
第1作目の「黄金仮面」が放送されたのは、確か昭和54年でした。それから毎年1作品ずつ年の暮れに、1日15分ずつの連続で放送されていました。(「人間豹」は連続20回)主題歌も各作品にありました。
「人間豹」でラジオの朗読者が、「昭和8年の12月24日に、東京有楽町の日劇が開場しました。今年、半世紀にわたるその歴史を閉じましたが……」と言っていたので、「人間豹」が放送されたのは、昭和57or8年?

大江さんありがとうございました。
投稿者 SEN - 2001年4月1日20時33分
大江さんのおかげで当時のことを思い出しました。
そうそう「魔術師」や「黄金仮面」ありましたねー。
「化人幻戯」もあったのですか?聞きたかったなー。

「人間豹」の創作部分は大分凝った話みたいだったのですね。
でも恩田の過去の話も出てくるとは・・・。乱歩だったらどのように恩田の過去を語ってくれたのでしょうか。

しかし当時のラジオのことを覚えていていただいて本当に嬉しかったです。ありがとうごさいました。またよろしくお願いします。
32 すいませんでした。
投稿者 ふとん 投稿日 2001年3月10日03時01分
私は映画好きなので、つい興奮して肝心の映画の話しであることを忘れていました。それと、コミックキューとは、 半年ごとに創刊される漫画雑誌のことです。こんな訳のわからない質問に優しくフォローしてくれたアイナットさんありがとうございます。


Re: すいませんでした。
投稿者 アイナット - 2001年3月12日23時27分
いえいえ、気になさらずに。コミックキュー、全く知りませんでした。漫画雑誌も数多いね。
31 あなたは何者?
投稿者 ふとん 投稿日 2001年3月6日16時05分
「押絵と旅する男」に出演していた飴屋法水と言う人が気になります。作品の誰の役だったのか?あと、コミッキューVOL4(イーストプレス)で水野純子とコラボレーションしてたり...気になりすぎます。誰か教えて下さい。
あと、貧民区の様なところで流れる音楽をもう一度聞きたいので教えてください。


Re: あなたは何者?
投稿者 アイナット - 2001年3月9日01時08分
どうも質問の根本部分がわかりません、94年あたりのここ最近の映画「押繪と旅する男」のことでしょうか?う〜ん、いずれにせよ、映像系は詳しくないので、答えることが出来ません、いやはや。ということで、誰か知ってる方がもしおられましたらレスよろしくです。

Re: あなたは何者?
投稿者 黄光明 - 2001年9月15日17時09分
<「押絵と旅する男」に出演していた飴屋法水と言う人が気になります。>
多分、押絵の中に入った主人公の兄のことだと思います。
30 魔術師の章題
投稿者 アイナット 投稿日 2001年2月26日23時33分
単なる誤植の指摘なんですが、手持ちの創元推理文庫「魔術師」(第五版)の章題の一つが「五色の雲」になっています。しかし内容的にもそうなのですが、角川文庫版、講談社文庫版、初出版全て、「五色の雪」です。これは明らかな創元推理文庫版の誤植だと思うのですが、現在の版には修正されているのでしょうか?ご確認頂ければ幸いです。
それとも、五色だけにわざと誤植を・・・、いえ、なんでもありません。ところで、93年3月の創元「魔術師」初版、94年12月の五版、やっぱり94年は乱歩ブームなんですね。なにせ「盲獣」は96年初版で2000年4版では・・・。


Re: 魔術師の章題
投稿者 よろりん - 2001年2月27日01時33分
私が持っているのは96年5月の6版ですが、「雲」のままです。
それにしても誤植、気付かなかったなあ・・・(^^;。

Re: 魔術師の章題
投稿者 アイナット - 2001年2月28日00時09分
よろりんさん、確認どうもです。六版でも「雲」でしたか〜。とりあえず最新版は書店で確認してみるしかなさそうですね。明日確認してみます。って、結構これが確認系は失念するんですよね。まぁ、そのうちに(汗)。 

Re: 魔術師の章題
投稿者 アイナット - 2001年3月1日00時02分
今日見てみたら、2000年の版でも「雲」、誰も気がついてないんでしょうか?それとも章題チェックしているのは私くらいしかいないのかな(汗)とりあえず創元社にメール出しておこうと思います。

Re: 魔術師の章題
投稿者 黄光明 - 2001年9月15日17時17分
手元にある創元推理文庫(第12版)で確認してみましたが、小見出しは「五色の雲」になっていましたが、内容的には手品師が使う紙を刻んだ五色の雪の話の事が書いてありました。ですから「五色の雪」がむべ正しいはずです。
29 闇に蠢くについての疑問
投稿者 まき 投稿日 2001年2月6日21時31分
「闇に蠢く」は江戸川乱歩の作品ではないのでしょうか?作中では確か御納戸色(?)が作者だと書いてあると思ったのですが、御納戸色という人物は実在するのでしょうか?あの文章は江戸川乱歩でないと書けないような気もするのですが・・・。

Re: 闇に蠢くについての疑問
投稿者 アイナット - 2001年2月7日03時45分
まきさん、はじめまして。
質問への応答ですが、まきさんの単なる勘違い・思い違いだと思いますが、「闇に蠢く」はもちろん乱歩の作品ですよ。あれはただの小説中のシチュエーション、テクニックです。いわゆる作中作ですね。ちなみに御納戸色とはコナン・ドイルですね。乱歩はエドガー・アラン・ポー。

Re: 闇に蠢くについての疑問
投稿者 まき - 2001年2月7日17時13分
ありがとうございました。小学生のときからずっと疑問思っていて、「もしかして、また合作・・・?」とまで思ってました(笑)。