新潮社

*** 書籍表題 出版社 筆者 訳者など 一言感想or備考 お勧め度
079 今日もいいネコに出会えた 新潮文庫 岩合光昭 これも半野良猫の写真集みたいな感じでニッポンの猫と同じような構成。 ☆☆☆
079 ニッポンの猫 新潮文庫 岩合光昭 半野良猫の写真集みたいなもんだろう。最近は猫好きなので読んでみた。写真は素晴らしいが読み応えという点では今一つかな。内容自体はブログの方が面白いものがある。 ☆☆☆
064 阿片王 満州の夜と霧 新潮社 佐野眞一 満洲帝国において、阿片密売を一手についに阿片王と呼ばれるまでに至った里見甫[はじめ]について記した伝記。そのこの謎に満ちた人物の持つ大仰な肩書きと本書の探偵小説的な副題(団子坂の怪人、異形の人脈、男装の麗人、魔都放浪、秘密工作、アヘンの国、不逞者、風雲の上海、孤高のA級戦犯、女人変転、家計図の迷路、石つぶて)が示すようにスパイ暗躍的な活躍を記したものを想像しがちだが、他の金銭と時代に流されただけの有名人と対比させつつ、断固たる意思を持つ里見の生き方を好意的に描いているように見える。が、里見の謎は結局解明しきれず物足りないものがあり、結局本書の大部分を(里見と関わったとはいえ本書メインに関係ない)男装の麗人梅村淳を追いかけすぎたところにバランスの悪さを感じざるをえない。もっとも、里見甫と阿片というまさに謎に包まれたいた満洲の夜と霧にメスを入れた点は大いに評価できる面白い作品と言えるだろう。 ☆☆☆☆+
065 エディプスの恋人 新潮文庫 筒井康隆 「七瀬ふたたび」のあと。どういうわけか七瀬は高校の職員をしていた。その理由が一切告げられず、かつての思い出に浸ることなども一切無く、物語は進行していく。超能力者でもないのに、過剰な点を含む防衛的意味で不思議現象が発生する男子生徒。七瀬は調査している内に恋をしてしまった。宇宙意志や神の概念が表立って登場し、テレパス七瀬とも干渉し合うというあまりにも壮大な物語。
七瀬シリーズは全て切なさを感じるわけだが、本篇のそれはまた違った威力を持って読者にも届くのである。
☆☆☆☆+
065 七瀬ふたたび 新潮文庫 筒井康隆 家族八景の続編。七瀬は家政婦をやめていた。物語の冒頭は大雨の中の列内。ここで七瀬ははじめて他の超能力者を認知し、出会いを重ねていくことになる。特に三才児で能力を自覚していないノリオとの出会いは大きかった。しかし超能力者との出会いの反動とでも言おうか、その後、本篇では謎のアンチ超能力組織と生きるか死ぬかの争闘にまで発展してしまう…。このアンチとの闘争がどうも唐突に今までの物語を急変させすぎてしまい、しかもその手法に中途半端感が漂っていることでいまいち本作の評価を落としているように思える。全体的な出来映えというか、奇妙なことをいうようだが、リアリティな面白さという意味では「家族八景」が遙かに上と言えよう。むろんテレパスに留まらない超能力が登場するため超能力小説という意味では本作であるし、活劇的面白さも本作ではあるが。
最後に何度も言われてることだが、解説で七瀬三部作ラストの「エディプスの恋人」のネタバレをしている解説執筆者には最悪と評価を与えておこう。
☆☆☆☆+
064 家族八景 新潮文庫 筒井康隆 最近は些細な事情で超能力に凝っている。そのためテレパスの火田七瀬を主人公にした本連作短篇集に白羽の矢が立ったわけだ。
本作は18歳から20歳にかけての乙女・七瀬がお手伝いさんというか女中というかを通じて、八件の家族に巡り歩き、そのそれぞれの家族心象を記した小説である。職業についてはテレパス曰く、同じ場所に定着しないことで能力を悟られにくくするという工夫らしい。見つかったら破滅というのは彼女の心に深く染みついている。にしても、心が読めると言うことは恐ろしいことである。登場する家族が異常なものばかりだということもあるが、出て来るどの家族も心の中は浅ましいものであり、衝撃的ですらある。それらは時に七瀬に冷ややかな感想を抱かせ、時には七瀬を苦しめるが、七瀬も異常なテレパスであるだけに興味深い精神を覗いたり自己保身を計ったりして干渉も試みる。特に興味深いのはその道の専門家と対峙することになった「紅蓮菩薩」であった。

☆☆☆☆+
062 国家の品格 新潮新書 藤原正彦 国家というか全ての個人、家族、日本人、地球人に捧げるべき本なのかも知れない。戦後六十年、日本は米国追従姿勢と経済第一主義、そして自虐史観を植え付けてきた教育とマスコミ攻勢により、誇るべき所を見失ってしまった。その失われたものを思い出させる一助になる一書になる。
特に感銘したのが数学と美的感覚の関係。これはソフト業界でもマジマジと感じるところでもある。日本庭師の感覚もあげているが、これも同様だろう。日本人の力はこういう点に生かされるべきだ。それに論理を絶対視せず、自由や平等や民主主義と言った綺麗事にうつつを抜かさずといったところなどもいちいち頷かざるを得まい。ただ旧制高校などの真のエリート論や日本程度の些細な経済格差にイチャモンを付けることなどには賛同しかねる点もある。(真エリートについては本年本月の日記に書いたような対策が必要が信ずる限り)
☆☆☆☆☆−
037 リプレイ 新潮文庫 ケン・グリムウッド 杉山高之 心臓発作で倒れて死んだはずだったのに、25年前の世界にリプレイする。意識、魂は同一線上にあるのにだ。神の与えたチャンスなのか、それとも絶対悪夢の始まりか。読み進めるに連れ、実は生物はリプレイするものなのではないか? 意識を継承出来るのは、例外エラーで、50億人に一人とかなのではないか? とも錯覚しそうになると空恐ろしくもなる。救われない魂だ。SFという答えはない。関係ないが、本作中にも出てきた「2001年宇宙の旅」をはじめ、最近の漫画で言うと「ジョジョの奇妙な冒険第6部」、または2001年の影響を受けたアニメ「伝説巨神イデオン」を少し思い出してしまった哲学的作品とも言えよう。 ☆☆☆☆☆
027 怪人二十面相・伝
青銅の魔人
新潮社 北村想 関連書籍参照 ☆☆☆☆☆
026 怪人二十面相・伝 新潮社 北村想 関連書籍参照 ☆☆☆☆☆−
025 犯罪發明者 新潮文庫 甲賀三郎 昭和16年88版(昭和8年初版)の甲賀本。旧新潮文庫だ。収録は表題作と「焦げた聖書」。感想は「甲賀三郎の世界」を参照すべし。 ☆☆☆☆☆
023 異邦人 新潮文庫 カミュ 窪田啓作 養老院の母親の死に感慨を動かさず、友の敵を偶然ながらも残酷的に撃ち殺した結果、単純な殺人罪以上に問われる。超論理の果てにあった絶望の中でムルソーの到達した物とは・・・。 ☆☆☆☆☆−
010 加田伶太郎全集 新潮文庫 福永武彦 良く出来た本格短篇、しかも様々なバリーエーションに富んでいるのだから堪らない短篇集と言ってもいいだろう。「完全犯罪」「幽霊事件」「温室事件」「電話事件」「眠りの誘惑」「湖畔事件」「赤い靴」を収録。中でも「完全犯罪」「眠りの誘惑」「赤い靴」が特に面白い。 ☆☆☆☆+
009 点と線 新潮文庫 松本清張 社会派ミステリーの分野を切り開いたという名作であるが、クロフツ的なアリバイトリックに優れた本格とも言えそうな作品であった。ただ推理にアンフェア的なところも目には付いた。トリックにおいてはダイヤグラムを用いた素晴らしいものだったが、やはりやや関与人が多すぎるかな。しかし前半から後半まで全体的に面白く読むことが出来た。故郷福岡ではもろに知っている街がメインだったのも好印象かも・・・(^^) ☆☆☆☆+
053 バーネット探偵社 新潮文庫 モーリス・ルブラン 堀口大學 これは痛快だ。こればかりは新訳に独自性を持たせるのは難しいのではないか? 「したたる水滴」「ジョージ王の恋文」「バカラの勝負」「金歯の男」「ベシューの十二枚のアフリカ株券」「偶然が奇跡を作る」「白手袋・・・・・・白ゲートル」「ベシュー、バーネットを逮捕す」。
しかし甲賀派の私は敢えて云おう。全体的には手塚龍太の方が面白い。が、本書のベシューの浮き出た滑稽さは偉大としか言えまい。
☆☆☆☆☆
00a 続813 新潮文庫 モーリス・ルブラン 堀口大學 下記の続編。ルパン対謎のL・Mとの闘いで、こちらも前編同様にスリルとサスペンス的展開が非常に面白く、さらに最終的のアッと驚くべき真相も813に負けじとも劣らないものがあった。 ☆☆☆☆☆−
008 813 新潮文庫 モーリス・ルブラン 堀口大學 アルセーヌ・ルパンもの。
スリルとサスペンス面で圧倒的に優れており、最後まで驚異的驚きをさせられるだろう。さすがは数あるルパンものの中でも1,2位を争うと言われるだけある。続編もはやく読みたいものだ。
☆☆☆☆☆+
007 クリコフの思い出 新潮文庫 陳舜臣 ミステリ色のある普通小説短篇集といったところだろうか。中国人は当然として外国人が多く登場する。「クリコフの思い出」「枯葉のダキメ」「四人目の香妃」「キッシング・カズン」「透明な席」「蜃気楼の日々」「その人にあらず」「覆面のひと」という各短篇を収録。面白く感じたのは民族的な興味深さからか「枯葉のダキメ」、微笑ましい謎が良い「キッシング・カズン」の2篇だろう。 ☆☆☆+
007 霧越邸殺人事件 新潮文庫 綾辻行人 あらゆる点で不可思議性に溢れ本格ミステリとして完成度が高い作品であったと思う。最終的な展開には息を付く面白さであった。 ☆☆☆☆☆−
024 痴人の愛 新潮文庫 谷崎潤一郎 ナオミを少女時代からモダンに育て上げ妻にした男の悲哀。これは痴人の愚なのか、ロマンなのか、イライラもさせられるが、果たしてどうなのか。圧巻の恋愛ものは、優に時代を超越した名品だ。 ☆☆☆☆☆−
018 蓼喰う虫 新潮文庫 谷崎潤一郎 理解し合えているだけに、離婚への道へ進む夫婦。それは決まり切った道である。なお、妖しい部分もなくその意味フツウの作品。 ☆☆☆☆
004 春琴抄 新潮文庫 谷崎潤一郎 まさに愛の物語だった。特に後半部分では、内容を薄々知った上でも驚異を感じた。一種の触覚の究極に近づいたとも言えそうだ。 ☆☆☆☆+
002 一九三四年冬ー乱歩 新潮文庫 久世光彦 通俗長編しか書けない自分に嫌気がさし、「悪霊」の中絶で危機的な心理に陥っていた乱歩四日間の話。その間に「梔子姫」という架空の乱歩中編が描かれる。(つまり久世氏の贋作である)乱歩の奇態には驚かされるが、微笑ましいような気もしないでもなかった。全体で言えば、時代の雰囲気に浸ることの出来る逸品 ☆☆☆☆☆−
002 島津奔る(下) 新潮社 池宮彰一郎 朝鮮の役の撤退から関ヶ原後までの島津義弘を主人公にした小説。薩摩島津の関ヶ原後の安泰ぶりの謎がわかる。
蛇足としか言えないことだが、個人的には安国寺恵瓊の登場に胸を躍らせ、そして吉川広家を憎まずにはいられなかった。
☆☆☆☆☆−
001 島津奔る(上)
001 光抱く友よ 新潮文庫 高樹のぶ子 高校の教科書とかに載ってた覚えがあり、それだけで読んだ。表題より「春まだ浅く」の方がいいかな。 ☆☆☆
007 ギリシャ神話を知ってますか 新潮文庫 阿刀田高 ギリシャ神話入門者向けの12のショート・ストーリーを収録している。名前だけ何となく知っていた神話の登場人物の活躍?をわかりやすく知れてよかった。 ☆☆☆☆☆
990 あやかしの声 新潮文庫 阿刀田高 読後感が何とも言えない不可解な恐怖?な短編小説群。冒頭からの三編の「背後の足音」,「死の匂い」,「愛のすみか」がお気に入り。 ☆☆☆+
990 火車 新潮文庫 宮部みゆき 社会経済派ミステリー。借金の恐怖が身にしみる。法学部に籍を置く人間としては注目点が多かった。ガチガチの金社会から逃げ出した弱者の物語。 ☆☆☆☆☆−
99a 魔術はささやく 新潮文庫 宮部みゆき 話としての展開にはハラハラさせられた。トリックとしては納得いきかねるが、それを補って余りある物語には脱帽させられる。 ☆☆☆☆
99a 本所深川ふしぎ草紙 新潮文庫 宮部みゆき 「本所七不思議」に関する話を七つの短編にわけている時代物。江戸の雰囲気が伝わってきて、哀愁を味わえる。 ☆☆☆+
99a 落日燃ゆ 新潮文庫 城山三郎 外交官広田弘毅を主人公にした伝記的小説。これを読んで、広田に関する見識がずいぶん変わった。結果だけの歴史教育がどれだけ無意味なのかがわかる。 ☆☆☆☆☆
99a 男子の本懐 新潮文庫 城山三郎 経済歴史小説。浜口雄幸と井上準之助の金解禁を中心にした物語。はっきりいって、これ読むまで誤解していた井上蔵相の生き様がわかり、高等日本史の浅はかさを再認識した。単純かもしれないが、浜口はさほどでもないにせよ、井上ファンになってしまった。 ☆☆☆☆☆
99b ポプラの秋 新潮文庫 湯本香樹実 下の「夏の庭」程ではないにせよ、感動できるポイントがラストの方に用意されていた。死を考えさせてくれる作品。 ☆☆☆☆
999 夏の庭 新潮文庫 湯本香樹実 月並みに言えば、どことなく懐かしみのある話だった。結末は予想できるのに、面白みがつきることはなかった。キャラの描写がグット ☆☆☆☆☆
997 東京駅で消えた 新潮文庫 夏樹静子 東京駅につられて買った。どんでん返し的結末はいいが、どうあっても推理しようがないのではとしか言えない。 ☆☆☆
バスカヴィル家の犬 新潮文庫 コナン・ドイル 延原謙 一般的にドイルの長編最高傑作といわれることが多い。 ☆☆☆☆+
恐怖の谷 新潮文庫 コナン・ドイル 延原謙 ☆☆☆☆+
オリエント急行殺人事件 新潮文庫 クリスティ 蕗沢忠枝 ☆☆☆☆☆+
ABC殺人事件 新潮文庫 クリスティ 中村能三 ☆☆☆☆+
スタイルズ荘の怪事件 新潮文庫 クリスティ 能島武文 天才女史クリスティの処女作。ポアロ登場 ☆☆☆☆
三幕殺人事件 新潮文庫 クリスティ 中村妙子 ☆☆☆☆
アクロイド殺人事件 新潮文庫 クリスティ 中村能三 クリスティの中での最高傑作とよく形容される。
乱歩の選ぶ黄金時代ミステリーの6位にランクインしているほどの名作。
☆☆☆☆+
しろばんば 新潮文庫 井上靖 ☆☆☆☆+
夏草冬濤(上) 新潮文庫 井上靖 ☆☆☆+
夏草冬濤(下) 新潮文庫 井上靖
北の海 新潮文庫 井上靖 ☆☆☆+
泥流地帯 新潮文庫 三浦綾子 ☆☆☆☆
続泥流地帯 新潮文庫 三浦綾子
新源氏物語(上) 新潮文庫 田辺聖子 読んだ理由が受験のためだったこともあり、続編の「霧ふかき宇治の恋」は未読。 ☆☆☆☆
新源氏物語(中) 新潮文庫 田辺聖子
新源氏物語(下) 新潮文庫 田辺聖子