双葉社

*** 書籍表題 出版社 筆者 訳者など 一言感想or備考 お勧め度
008 乱歩幻想譜 双葉文庫 斎藤栄 大正15年〜昭和11年までの乱歩の動向を描いた一種のパロディ小説。年代順にしたストーリーごとに短篇形式で書かれている。ちと異様に創作しすぎでエログロの感が強すぎるのではないかと思われた。 ☆☆☆☆
016 死体の冷めないうちに 双葉文庫 芦辺拓 今まで読んだ新本格作家の短篇集としては、上位に来ること間違いないパフォーマンス。パラレルワールドの自治体警察局のメンバーを主人公に展開していく。些か旧態勢力が誇張にすぎるような気もするが、その世界観も社会性とある種の精神が豊かで面白い上に、トリックとプロットの優れた本格。で、連作短篇の収録作品は「忘れられた誘拐」「存在しない殺人鬼」「死体の冷めないうちに」「世にも切実な動機」「不完全な処刑台」「最もアンフェアな密室」「仮想現実の暗殺者」を収録。いずれもそのタイトル通りの恐るべき意外性だ。怪人・小野瀬との闘いの行方?ハッキリ言って頭に来る旧態勢力との闘いの行方は怪人的エンターテイメントの面白さも感じるのである。特に秀逸は理化学アリバイ・トリックの錯誤「死体の冷めないうちに」と本当にその題名に驚異する「世にも切実な動機」か。 ☆☆☆☆☆−
00b 怪奇探偵小説集(II) 双葉文庫 江戸川乱歩など 鮎川哲也 編 下記の続編シリーズ。収録作品は江戸川乱歩「踊る一寸法師」、甲賀三郎「悪戯」、角田喜久雄「底無沼」、水谷準「恋人を喰べる話」、渡辺温「父を失う話」、城戸シュレイダー「決闘」、阿部徳蔵「奇術師幻想図」、光石介太郎「霧の夜」、蘭郁二郎「魔像」、横溝正史「面」、渡辺啓介「壁の中の男」、井上幻「喉」、登史草兵「葦」、弘田喬太郎「眠り男羅次郎」、潮寒二「蛞蝓妄想譜」を収録。既読の乱歩と水谷準を除くと、特に面白かったものは「悪戯」「魔像」「面」「壁の中の男」であろう。 ☆☆☆☆☆−
008 怪奇探偵小説集(I) 双葉文庫 江戸川乱歩など 鮎川哲也 編 戦前の怪奇系探偵小説を集めた傑作アンソロジー。面白い話が目白押しであった。収録作品は村山槐多「悪魔の舌」、江戸川乱歩「白昼夢」、城昌幸「怪奇製造人」、小酒井不木「死体蝋燭」、妹尾アキ夫「恋人を食う」、岡戸武平「五体の積木」、橋本五郎「地図にない街」、米田三星「生きている皮膚」、南沢十七「蛭」、大下宇陀児「恐ろしき臨終」、西尾正「骸骨」、横溝正史「舌」、氷川瓏「乳母車」、西田政治「飛び出す悪魔」、大阪圭吉「幽霊妻」。特に秀逸だと思ったのが、「悪魔の舌」「死体蝋燭」「恋人を食う」「五体の積木」「生きている皮膚」「恐ろしき臨終」「幽霊妻」あたりであった。 ☆☆☆☆☆
007 黒い白鳥 双葉文庫 鮎川哲也 鬼貫警部の名推理。
多くの推理小説の例にもれず前半はやや退屈の感がないでもなかったが、中盤以降は面白く読めた。私自体の推理はほとんど迷推理に終わったものの、次々とアリバイが崩れて行く様を読んでいくと、その美事さに快感すら覚えるくらいである。
☆☆☆☆☆
005 憎悪の化石 双葉文庫 鮎川哲也 鬼貫警部活躍の長篇探偵小説。
中途までは絶賛できる内容だったが、肝心のラストを飾る部分の説得力が今ひとつのような気がする。
私の推理は中途まではまぁ良かったが、最終的には鬼貫と同時くらいだった。
☆☆☆☆☆−
017 能面殺人事件 双葉文庫 高木彬光 プロットのトリックが冴え渡る本格。メインの外観ならば、充分推理可能であったが、その型破りの構成は素晴らしいと言える。異常な旧家で巻き起こる能面の恐怖。 ☆☆☆☆☆−