*** | 書籍表題 | 出版社 | 筆者 | 訳者など | 一言感想or備考 | お勧め度 |
040 | 御手洗潔対シャーロック・ホームズ | 原書房 | 柄刀一 | − | 何か思いつきだけで買ってしまった。しかも長篇と間違えての新刊本。更に加えたしかもとして、一作は既読だった・・・。 実際はこの2人の、名探偵を使ったパスティーシュ集で、御手洗石岡物の「青の広間の御手洗」(これは石岡的には御手洗頭脳の圧巻快挙。根底に流れるものには安らかさすら感じる。上手くできていた一篇。頭脳論はよくわからないながらも素晴らしいのだろう。私は脳髄というとスチャラカ夢野ばかりイメージしてしまうのだが)、「シリウスの雫」(英国舞台に逆さ文明の遺跡に迫る一篇。)、悪のりしたパロディ色が非常に濃いホームズワトスンの「緋色の紛糾」(信奉深いワトスン視点だから面白いのだろう。ユーモア溢れる中にも活躍の場あり)「ボヘミアンの秋分」。そして一番興味深い共演物の「巨人幻想」(巨人の存在を感じさせる不可能犯罪で、パスティーシュらしい展開ながらも、柄刀ワトスン視点と石岡視点の激突が面白い。)。島田荘司の解説ワトスンVS石岡の応酬は面白いおまけ。 |
☆☆☆☆ |
020 | 2003本格ミステリベスト10 | 原書房 | 探偵小説研究会編著 | − | 2002年シーズンの本格ミステリについてランキングなど。年々読んでる作品は減っている模様。とりあえず現在の状況を把握するために購入読んでみた。とりあえず月1冊くらい21世紀ミステリを、また隔月で海外新刊を読みたいとは思うのだが・・・。 | ☆☆☆☆ |
000 | 2001本格ミステリベスト10 | 原書房 | 探偵小説研究会編著 | − | 2000年シーズンの本格ミステリについてランキングなど | ☆☆☆☆ |
006 | 贋作館事件 | 原書房 | 芦辺拓=編 | − | 芦辺拓、村瀬継弥、小森健太郎、斎藤肇、柄刀一、二階堂黎人、北森鴻、西澤保彦によるパスティーシュアンソロジー。マープル、ブラウン神父、黒後家蜘蛛の会、ホームズ、ルパン、黒死館、明智、顎十郎、退職刑事の贋作シリーズ、及びこの『贋作館事件』自体の贋作が収録。どれもこれも面白く楽しめる一冊である。ただ、顎十郎、退職刑事は本物未読だったが、他のは少なからず本物を読んだ上で読んだところより楽しめる構成だと思われます。 | ☆☆☆☆+ |
005 | 鮎川哲也読本 | 原書房 | 右編者ら多数 | 芦辺 拓 有栖川有栖 二階堂黎人 編 |
本格推理の驍将たる鮎川哲也氏の作家五〇周年で記念して編まれた読本。いかにもという不思議な話の幻の処女作『ポロさん』、かなり興味深く読めた未収録中篇『占魚亭夜話』、確かによ思う未収録エッセイ『クロツィアンの嘆き』という鮎川さんの三篇も収録している。まだまだ芦辺氏二階堂氏を交えた対談、編者三人による鮎川作品パスティーシュ、全長篇レビューなど内容は充実しまくっています。一応一通り目を通したと言え、鮎川作品を読むたびなどに何かと紐解くことも推理?されます。 | ☆☆☆☆☆+ |
020 | 明智小五郎対金田一耕助 | 原書房 | 芦辺拓 | − | 表題作の「明智小五郎対金田一耕助」では、明智小五郎と金田一耕助が大阪ですれ違う際に起こった事件が、「フレンチ警部と雷鳴の城」ではカー物の驚くべき真相が明かされ、再読の「ブラウン神父の日本趣味」ではトリックが冴え渡り、「そしてオリエント急行から誰もいなくなった」では意外な後日談が面白く、「Qの悲劇 または二人の黒服面の冒険」ではクイーンネタが、「探偵映画の夜」ではまさにその名の通りの事件前後、「少年は怪人を夢見る」は乱歩大全集、よもやあの人があんな事を、という想像するだに面白可笑しい展開ながら、心に響く少年の夢。と言ったようなラインナップであり、古き良き探偵小説ファンなら随喜の涙を流すに違いないパスティーシュ作品集。 | ☆☆☆☆☆ |
023 | グラン・ギニョ−ル城 | 原書房 | 芦辺拓 | − | 異国の古城に集まる謎のようなカタカナ人達による展開と無印・森江春策が偶然車中の謎の毒殺事件に巻き込まれる展開という謎々のように平行する二つの物語。それは平行線を辿るはずの過去と現在、虚構と現実のはずだったのだが、現在の現実にいるはずの森江春策の足下は余りにも脆弱だったのだ・・・。圧巻驚きの構成とその二重の真実の前には驚きあるばかりの本格探偵小説。展開そのものに少し想像するとナンセンスさを含みつつも、人の現実認識の危うさをも内包している恐るべきさを感じてしまうのである。 | ☆☆☆☆☆ |