文芸春秋社

*** 書籍表題 出版社 筆者 訳者など 一言感想or備考 お勧め度
05b 僧正の積木唄 文春文庫 山田正紀 ファイロ・ヴァンスが活躍した最大長篇と数えられる「僧正殺人事件」に真っ向から挑みつつ、金田一耕助の若かりし活躍と戦前米国の排日政策の一端を交えさせる作品。パロディ調ではなく正面からの排撃には辛辣さも感じるが、時代の流れの辛辣さであり、そして排日政策の辛辣さ、、この話の根幹となる部分の辛辣さに比すればなんとやらなのだろう。僧正殺人事件2では、僧正の生き残りの科学者が爆死+首無し死体という凄惨な殺害事件から始まる。そしてそこには僧正の署名の付いたマザーグースがあり、日本人給仕が些細なことでマーカムらに容疑者として連れて行かれるのだ。異常な時代背景の中、金田一耕助はの活躍とその裏側に隠された真相の深さとは? ☆☆☆☆☆ー
048 紅楼夢の殺人 文藝春秋 芦辺拓 中国清代の紅楼夢の世界を舞台にした本格ミステリ。だからこその本格ミステリの設定には、意想外な裏を付かれ、驚かされた。舞台たる異世界を生かし切っているのが素晴らしい。美女たちの中に住む貴公子、その住処である理想郷で次から次へと不可思議極まる殺人が発生する。それは密室だったり、消え失せたりと多種多様で飽きさせない展開だ。難点というか、何なのか、私は紅楼夢を全く知らなかったので、登場人物の名前や特徴などを覚えるのに苦労した点、それ以上に、読み方のルビが少なすぎ、読み方がわからないので、誰が誰やら混乱すること多く、感情移入が出来なかった点が難点だった。それは舞台についての知識不足も手伝う。 ☆☆☆☆+
021 陰陽師 付喪神ノ巻 文春文庫 夢枕獏 安倍晴明の第三弾の短篇集。バリエーションもますます増えてきて面白さの幅の増えている気もする。 ☆☆☆☆+
021 陰陽師 飛天ノ巻 文春文庫 夢枕獏 安倍晴明の第二弾の短篇集 ☆☆☆☆+
021 陰陽師 文春文庫 夢枕獏 安倍晴明と源博雅の漫才のようなコンビで京の都の妖異に立ち向かう短篇集 ☆☆☆☆
058 中年探偵団 文春文庫 小林信彦 ナンセンスショートストーリー集。江戸川乱歩ファンならぜひ読んで欲しい「中年探偵団」の小林中年の悲壮感はもの悲しいものもあるが、ごく短いものながら起伏に富んだ展開は懐かしさを楽しめるものになっている。 ☆☆☆☆+
018 回想の江戸川乱歩 文春文庫 小林信彦 「江戸川乱歩邸応接間の図」のイラストレーション、筆者と弟の小林泰彦による対談「もう一人の江戸川乱歩」、エッセイ「回想の江戸川乱歩」、筆者と乱歩の関わりを偽名で描いた私小説「半巨人の肖像」を収録。全体を通じて十分興味深い。 ☆☆☆☆☆
997 歴史随談 文春文庫 海音寺潮五郎 歴史が好きなら読んでもいいかなと思うくらいのものだった。基本的に著者の未収録作品だった中短編を集めた作品である。 ☆☆☆